月の瞳を持つ少女






「人の考えていることなんて分からないし、気持ちを読むことだって出来ない。


でも、それは翠だって同じ。翠だって……、蒼だって。


みんな分からない。




だからこそ私という存在があって、翠がいて、蒼がいる。





翠が私と違う存在なように、翠が蒼と同じなわけない」









「僕と蒼は同じだよ!!!!」







翠は俯きながらも私に怒鳴りつける








でも、私はやめない








「同じなわけない。




だって、こんなにもあなたはあなたらしいんだもの」







「ッ」




翠が息を呑むのがわかる







「私が蒼と翠のことを見分けられるのは、翠が蒼の真似をしてるのが分かるから。




翠、あなたは蒼をすごく見てる




蒼と同じにしようと努力してる





ねえ、それはなぜなの?」








翠は下唇を噛む










その瞳は寂しそうで、哀しそうで……









すこし、不安も感じられた







< 94 / 240 >

この作品をシェア

pagetop