月の瞳を持つ少女
翠はゆっくりとその口を開いた
「…………蒼が、羨ましかった。」
「……うん」
「周りが、蒼と僕を比較する度に距離を感じる
僕は蒼と同じでありたいんだ!
蒼は僕とは違って社交的で、人見知りもしないし、みんなから愛されてる。
でも、僕は話も下手だし人見知りだし、友達だって出来ない。
いくら、勉強が出来たってスポーツができたって、
僕の周りには……何も…………何も無ぃ。」
翠の瞳からは大粒の涙が溢れ出る
「お母さんやお父さんも、僕じゃなくて蒼ばかりを見てた
蒼は心配だけど、翠は平気よねって。いつも……いつも……。
…………寂しかったんだよ!僕を見て欲しかったんだよ!怒って欲しかったんだよ!
分かってるんだ。両親が僕ら2人を平等に愛さしていることくらい。でも、僕は蒼になりたかった……。」