初恋ホームラン



北海道のチームのユニフォームを着た男の子。

身長が、私より頭1個分くらい大きかったから、最初のイメージは、シンプルに「おっきいな」だった。

年齢は、私より一つか二つ、上だと思う。


突然話しかけられて、人見知りの私は反応に困り、ただただ硬直していた。



「……ねぇ、聞いてるんだけど」
「は、はい……!」



びく、と身体を震わせると、その子は、はぁと一つ溜息を吐いて、ちょっと乱暴に私の腕を取った。



「や、ちょ……!」



慌てて抵抗しようとするも、この人、握力が強い……っ!



「試合、観に来たんだろ。……いいとこで観せてやるから着いてこい」
「……」



私は為す術もなく、その子に引き摺られるように、球場の人の間をすり抜けて行った。


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