彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「本当だ・・・!?し、神経でも切られちゃったんでしょうか!?」
「落ち着いて、凛君!あの人・・・・秘伝の薬とか言ってなかった?」
「涼子ちゃん。」
「それが関係しているのかもしれません。とにかく、傷からバイ菌が入らないようにしましょう?」
目が見えるようになった少女が動く。
肩掛けカバンからハンカチを取り出すと、私の傷口を巻いてくれた。
「あ、ありがとう、涼子ちゃん。」
「私こそ・・・・守ってくれてありがとう・・・」
「なんか、任せてもよさそうだな。」
そんな私達を見て瑞希お兄ちゃんが言う。
「俺は烈司に電話して迎えに来てもらう。車呼ぶから。」
「瑞希お兄ちゃん。」
「リョウコちゃんには悪いけど・・・俺と凛に付き合ってもらっていいかな?」
「わ、私はかまいません!凛君とならどこへでも行きます!」
「どこ・・・あははは~こりゃあ、頼もしいけど参ったなぁ・・・まぁ、凛が決めるからいいけど。」
「え?僕がどうかしましたか?」
「うるせぇよ、ばか凛!ちょっとTELするから静かにしてろよ。」
涼子ちゃんには笑顔を、私には舌を見せてからスマホを耳にあてる瑞希お兄ちゃん。
「お兄ちゃん・・・」
それはないですよ。
うまくいえませんが、納得できない理不尽な何かを感じるんですけど?
「凛君。」
そんな思いで好きな人を見ていたら呼ばれた。
「本当に大丈夫?他に痛い場所はないですか?」
「え?ああ、平気ですよ。涼子ちゃんは?」
「私は平気です。」
「あ!?でも、僕がつき飛ばしちゃったよね!?痛かったよね?ごめんなさい!」
「そんな!あれは非常事態だったから、ノーカウントです!」
「ノーカンですか?」
「ノーカンです。」
気まずく聞き返せば、にっこりと優しい笑顔でうなずく涼子ちゃん。