彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「それでシゲ先生、凛の怪我・・・右腕は治りそうですか?」
謝罪後に、遠慮気味に聞いてくれる瑞希お兄ちゃん。
「そうだね。」
それに淡々とした口調でシゲ先生は言った。
「傷は浅いし、傷あとも残らない。神経を切られたわけじゃないから、麻痺は一時的だね。」
「マジすか!?ありがとうございます!」
「よ、よかった・・・」
(軽症なのね、私・・・)
「ああ、マジでよかったな、凛!?」
「はい、瑞希お兄ちゃん!」
「だけどね、安心しきるのはまだ早いよ。」
「「え?」」
動く左手で、瑞希お兄ちゃんと手を握り合っていれば言われた。
「怪我をさせた子は、『秘伝の薬』と言ったそうだね?」
「そ、そうです!そう言われましたが・・・?」
「それ、嘘じゃないね。」
「え!?」
「どういう意味すか、シゲ先生!?」
私と瑞希お兄ちゃんはもちろん、その場にいる全員がギョッとする。
それに穏やかな口調のままご老体は言う。
「クナイだったかね、使われた武器は?鉄に塗るとね、酸化して強い毒になる薬があるんだ。」
「「毒っ!!?」」
再び、ギョッとしながら聞き返す。
それは他のみんなも同じだった。
「マジすか、シゲ先生!?それじゃあ、凛の右腕をダメにしてるのは毒なんすか!?」
「凛たんの体内に毒が・・・・!?」
「やられた時間からしても、かなり効果の強いものなのですか?」
「そうだね、伊織君。量が少なかったから、右腕の感覚がないだけですんでいるんだろう。」
「きいいいい!なんて奴なの!あたしの凛ちゃんに、許せない!」
「わはははは!凛助も毒を使われるとは~えらくなったもんだぜ!」
「感心してる場合っすか、百鬼先輩!?」
大したものだという百鬼に、冗談じゃないとカンナさんが怒鳴る。
「いくら凛が龍星軍の頭とはいえ、毒までつかってくるとかありえないぜ!!」
「つーか、体の中に毒があるって、凛さん大丈夫なんすか!?」
「うはははは!わし、あかんと思う!」
「いやいや、普通にダメだろう!?凛君、ヤバくねぇ!?」
「ヤバいだろう、秀!?凛道死ぬじゃんか!?」
「縁起でもないこと言うな、悠斗!!凛は死なない、そうだろうシゲ先生よ!?」
「そうですよ!・・・・り、凛君、助かるんですよね!?凛君に何かあったら私――――――」
「涼子ちゃん。」
ヤンキー達の中で、唯一の一般人の涼子ちゃんが涙ぐむ。