彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)





「それでシゲ先生、凛の怪我・・・右腕は治りそうですか?」





謝罪後に、遠慮気味に聞いてくれる瑞希お兄ちゃん。





「そうだね。」





それに淡々とした口調でシゲ先生は言った。





「傷は浅いし、傷あとも残らない。神経を切られたわけじゃないから、麻痺は一時的だね。」

「マジすか!?ありがとうございます!」

「よ、よかった・・・」

(軽症なのね、私・・・)


「ああ、マジでよかったな、凛!?」

「はい、瑞希お兄ちゃん!」


「だけどね、安心しきるのはまだ早いよ。」

「「え?」」






動く左手で、瑞希お兄ちゃんと手を握り合っていれば言われた。






「怪我をさせた子は、『秘伝の薬』と言ったそうだね?」

「そ、そうです!そう言われましたが・・・?」

「それ、嘘じゃないね。」

「え!?」

「どういう意味すか、シゲ先生!?」






私と瑞希お兄ちゃんはもちろん、その場にいる全員がギョッとする。

それに穏やかな口調のままご老体は言う。





「クナイだったかね、使われた武器は?鉄に塗るとね、酸化して強い毒になる薬があるんだ。」

「「毒っ!!?」」





再び、ギョッとしながら聞き返す。

それは他のみんなも同じだった。





「マジすか、シゲ先生!?それじゃあ、凛の右腕をダメにしてるのは毒なんすか!?」

「凛たんの体内に毒が・・・・!?」

「やられた時間からしても、かなり効果の強いものなのですか?」

「そうだね、伊織君。量が少なかったから、右腕の感覚がないだけですんでいるんだろう。」

「きいいいい!なんて奴なの!あたしの凛ちゃんに、許せない!」

「わはははは!凛助も毒を使われるとは~えらくなったもんだぜ!」

「感心してる場合っすか、百鬼先輩!?」





大したものだという百鬼に、冗談じゃないとカンナさんが怒鳴る。





「いくら凛が龍星軍の頭とはいえ、毒までつかってくるとかありえないぜ!!」

「つーか、体の中に毒があるって、凛さん大丈夫なんすか!?」

「うはははは!わし、あかんと思う!」

「いやいや、普通にダメだろう!?凛君、ヤバくねぇ!?」

「ヤバいだろう、秀!?凛道死ぬじゃんか!?」

「縁起でもないこと言うな、悠斗!!凛は死なない、そうだろうシゲ先生よ!?」

「そうですよ!・・・・り、凛君、助かるんですよね!?凛君に何かあったら私――――――」

「涼子ちゃん。」





ヤンキー達の中で、唯一の一般人の涼子ちゃんが涙ぐむ。



< 154 / 453 >

この作品をシェア

pagetop