彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)





瑞希お兄ちゃん達とやってきたのは、海に囲まれたリゾート地。

宿泊先となる宿は、温泉が評判だという高級旅館。

咲耶庵(さくやあん)という数百年の歴史を持つ宿だった。



「いらっしゃいませ、獅子島様。」

「「「「「ようこそいらっしゃいました。」」」」」

「ああ、久しぶりだね、女将。みんなも息災か?」

「はい、おかげ様で。」





(・・・すごい・・・・)





左右両側から着物姿のスタッフさんから、いっせいに頭を下げられる。

デパートや百貨店の開店時の店員さんよりも、迫力のあるお出迎えだった。

なによりも、彼女達を従えている山吹色の着物を着た中年女性は・・・絶対偉い人だと思った。





「瑞希お兄ちゃん、なんか、すごいんですけど・・・・!」

「まぁ、伊織がらみだからな。そのうち凛も慣れるって。」

(時間がかかりそうだわ・・・・)





そんな思いで、女将さんと話し込んでいる獅子島さんを見ていたら、彼が話して言える相手と目があった。





「これはこれは、はじめてお目にかかりますね?咲耶庵(さくやあん)の女将の和島でございます。」

「え!?あ、は、はじめまして!いつも、獅子島さんがお世話になってます!」

「大きなお世話だ、凛道。」

「獅子島様、こちらは?」

「ああ。凛道蓮といってな、瑞希の弟だ。」


(え?)


「まあ、真田様の?」





獅子島さんのリップサービスに、女将さんがまじまじと私を見る。

それで慌てて、獅子島さんの方へ移動した。





「ちょ、だめですよ!苗字も違うのに、そういうウソはー」

「ウソではない。」





小声で話しかければ、変わらぬ口調で獅子島さんは言った。



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