彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「うははは!折り込みがぎょーさん入ってるのぉ~!?」
「飲食店だから、保険とかそんなんばかりだけどね・・・ん?」
手にした束を見て気づく。
いくつかあるうちの封筒に目が止まる。
「お!?それ、そこの近所のスーパーからやん!割引券郵送してくるサービスのええお店やったな!?」
「そうなんだけど・・・・」
そこには住所と名前が書かれている。
(なんで?)
封筒を見て、固まる。
(どうして、『凛道蓮の名前』で、きてるの――――――――――!?)
あのお店のポイントカードは持ってる。
住所や氏名を書かなくても発券できるから。
本名を知られたくない私は、無名で登録してる。
スーパーを利用する瑞希お兄ちゃん達5人は、名前で登録していると言っていたけど――――――――
(登録してないはずの凛道蓮の名前で、なんできてるの!?)
くるはずないのに・・・・!!?
一瞬のせんりつと嫌な予感。
無言で長方形の封筒を、封筒の一番下にする。
「何や凛~!?怖い顔してぇ~」
「いや、別に・・・・右腕の違和感が気持ち悪くて・・・・」
「そりゃいかんわ!片手はキツイやろうー!?そのチラシの束、わしが持ってやるさか~」
「いいです!!」
「うは?」
「あ・・・・い、いいよ!これからしばらく片手生活だから!甘えちゃダメだから・・・!!」
言えない。
まだ、そうだと言いきれない。
(どうやって私の個人情報が漏れたのか・・・・!)
もしかしたら、モニカちゃん辺りが「うちに住んでるから、凛ちゃんの名前で登録しちゃったー♪」というパターンもある。
(中身を確認しないことには、何とも言えないものね・・・・!)
「やっと帰ったか?」
「瑞希お兄ちゃん!?」
「瑞希はーん!」
店内に戻れば、住居スペースに戻ったはずの瑞希お兄ちゃんが立っていた。