彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「海外じゃ、犯罪者向けに使う罠だ。当選だぁ、パーティーだぁにつられてノコノコ出てきた犯罪者を警察が捕まえる・・・おとり捜査ってもんだよ。」
「なんや~捕まる側が、捕まえる側の真似するんかいなぁー?」
「使えるもんは使うってことだろう。五十嵐、そういう招待状は届いてないか?」
「うはははは!帰って確かめて見ぃひんとわからんけど、今んところ、来てまへんわ~!」
「そうか。凛は幡随院から、あるいは伊織から招待状のメールが来たら、念入りに確認するよう、全員に再度メールしてくれ。」
「念には念を入れて、ですね・・・?」
「そういうことだ。」
「うはははは!危なかった~!わし、それ聞かへんかったら、参加してたわ!なぁ、凛?」
「そうですね・・・・」
(あのダイレクトメール。)
まさかと思うけど、敵からの招待状じゃ・・・
「凛、顔色が悪いぞ。」
「え!?」
言われて相手を見る。
「なんかあんのか?」
鋭い目で見すえられる。
いつもの優しさや激しさとは違う冷たい瞳。
問いかけの中にある、強烈な威圧感。
「・・・・被害者は・・・どうなったんです・・・?」
悟られたくなくて、話題を変える。
それに瑞希お兄ちゃんは、目を細めながら答えてくれた。
「全員病院送りだ。一番ひどい奴は、社会復帰は無理な怪我を負わされた。一緒に行った奴もな。」
「一緒に行った?」
「ああ。ペアチケットで送ってくるらしいんだ。そっちも巻き込まれて、集中治療室に入ってるからな。」
「集中治療室!!?」
「ところで凛・・・手にしてるチラシとダイレクトメールは・・・」
「あ・・・・・こ、これは!保険の勧誘だったり、展示場のチラシです!ダイレクトメールは~モニカちゃんの通うエステ店からで~」
「・・・そうか。」
「ぼ、僕!部屋に忘れ物もあるので、取りに行くついでに、モニカちゃんに渡してきます!」
「凛!!」
動こうとして呼び止められる。
ドスのきいた低い声。
いつもの優しい野とは全く違って、まるで――――――――
「カフェオレ、ストロー入りが凛の分だからな?」
氷のように冷たい本命の態度。
「俺に言うことあるか?」
「あ・・・・ありがとうございます。カフェオレ・・・」
「てことは、こっちわしの分!?さすが、瑞希はん♪おーきに!」
私が座る定位置に、ヤマトの分も含めた冷たいドリンクを置く瑞希お兄ちゃん。
はしゃぐヤマトを見ることなく、私を見つめたままつぶやく。