彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「そういう意味じゃなかったんだが・・・まぁいい。早く降りて来いよ?」
「あ、は、はい・・・」
おじぎして、彼に背を向ける。
(気づかれたかな・・・・?)
チラ見した瑞希お兄ちゃん顔は険しかったけど、追及してくるような雰囲気じゃなかった。
(・・・・言えなかった。)
階段を駆け上がり、その途中で足を止める。
(私宛のダイレクトメール・・・・・)
左手の中、チラシで隠した封筒。
(・・・・・・・・・まだそうだと決まったわけじゃない。)
敵からの招待状だとは限らないけど――――――――
(もし、瑞希お兄ちゃんに話してしまって、一緒に行ってくれると言って来たら・・・・)
“巻き込まれて、集中治療室に入ってるからな。”
(・・・・好きな人を巻き込んでしまうかもしれない・・・・!!)
廊下に設置されているゴミ箱にチラシを捨てる。
その場にしゃがみ込み、残った封書を床に置く。
封筒は全部で4通。
2通がモニカちゃんで、1通が烈司さん宛。
そして、残り1通が――――――――――
(覚えのない『凛道蓮』への手紙・・・・!!)
隠さなきゃ。
(まだ決まったわけじゃないけど、今はまだ、隠さないと!)
そう思い、動く左手で封筒を折りたたむ。
右ズボンのポケットに突っ込み、そこへ動かない右手もいれる。
左手を使って押し込んだ。
(これでいい・・・・!)
床に置いた3枚の手紙を手に取ると、立ち上がって歩く。
部屋で小物制作と、電話相談をしている先輩方の元へと、それぞれ向かったのだった。