彼は高嶺のヤンキー様４（元ヤン）

「痛めつける姿を見る過程（かてい）が、それを楽しむことが目的なんですか・・・！？」






ゆがんだ人間が喜びそうなことと言えば、それぐらいしか思い浮かばない。

これに杉田さんは――――――――





「お答えできません。」






変わらぬ口調で告げる。





「雇い主様のお考えは、手足である我々にはわかりません。雇い主様があなた様を気に入ったとしても、どうなるかわかりません。気に入られなければ、あなた様の身柄は降参された方・・・つまり、このままですとＪ様に権利が移行されます。」

「僕の人権は僕だけのものだ！！」

「真田瑞希がどうなってもいいのか？」

「なに！？」






聞き捨てならない言葉。

言った相手をにらむ。





「どういう意味だ、Ｊ！？」

「呼び捨てにするな。俺にへつらえ。」

「どういう意味ですか、Ｊ様！僕に教えて下さい！！お願いします！」

「軽いなお前！？こんな奴のせいで俺は、街を追われたのかぁ～！？」

「しかも即答ですね。」

「俺もいろんな奴を見てきたが・・・・お前ほど変わり身の早い奴を見たことはない・・・」

「はい、ありがとうございます！！」

「「褒めてない！！」」

「ですよ？」

「僕より瑞希お兄ちゃんですよ！なにをした！？のですか！？」





ガンガンする頭で言い返す。





「やるなら、このまま僕だけやればいいでしょう！？瑞希お兄ちゃんを巻き込まないでください！」

「そこは普通、自分のことだろう。なぜ狙ったか聞かなくていいのか？」

「俺は龍星軍四代目総長だ！狙われるのは当然だ！」

「くっくっ！！・・・・そういうことか。そっくりだな。」

「え？」

「じぇ、J様！？」

「お前の命は俺次第だ。ここで降参して、大人しく言う通りにした方が真田瑞希のためだと・・・俺は言ってるんだ。」

「はあ・・・！？」

（どういう意味？？よくわからない・・・）




とりあえずはっきりしてるのは。




「僕を庄倉に渡すんじゃないんですか？」

「それは、お前の運次第だ。」

「なんですか、それ！？俺に、こいつをなぶらせてくれるんじゃー！？」

「黙れ庄倉！！」

「ひっ！す、すみません！」





怒鳴る仮面の男におびえながら頭を下げる庄倉。






「・・・・・・・・そんなに怖いの？」


このおじさん。


思ったままに、気づけば口にしていた。

これにくぐもった声のJが笑う。





「そうだ、おじさんは怖いぞ～？」

「・・・・・そうだろうね。」


（人の頭に、ライフル突き付けて言うんだもん。）




〔★説得力はある★〕