彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「まだ痛めつけんとわからんか!?口のきき方に気をつけろ!さもないと、真田瑞希を―――――――」
「どうにもできんぜ?」
ヒュン――――――カッカッカッ、ガキン!!
「うあ!?」
「J様!?」
私に向けていたライフルに何かが刺さる。
ザクッ!!
「うぎゃあああああああああ!?」
引き金を持っていたJの手にも何か刺さる。
ガッシャーン!!ザザザザ―――――――――!!
それでJの手から離れたライフルが私から離れて、床を回りながら遠ざかっていく。
「い、い、いてぇぇぇ!?」
「J様!?」
(今のは――――――――!?)
「手裏剣!?」
「卍手裏剣だ。」
ライフル銃とJの両方に、見覚えのある武器が刺さっていた。
「お、俺のライフルが!?」
「もう使いもんにならないぜ?」
そう言って不敵に笑い、私をかばうようにJと庄倉の前に立ったのは―――――
「杉田さん!?」
審判の杉田さんだった。
「悪いな、J様。」
紳士的な態度が一変し、ふんぞり返りながら告げる。
「凛道蓮は俺が頂く。」
「杉田さん!?」
「い、頂くだと!?」
「ふざけるな!審判テメー、なにしやがる!?」
彼の言葉に、私も、Jも、庄倉も文句を言う。
特にJは、歯ぎしりしながら怒鳴りあげる。
「ハンターイベントへの審判の参加は禁止されてるだろう!?しかも、ハンターである俺にこんなふざけた真似をすれば―――――――」
「ただじゃすまないだろうな。審判なら、な?」
そう告げると片手で顔を覆う杉田さん。
「審判は仮の姿!」
「え?」
「その正体は――――――!!」
ビリビリビリ、バサ――――――――――!!
さける皮膚と衣類。
その中から現れたのは―――――――――――
「軒猿なり!!」
バサ――――――――――――ン!!
「ええ!?忍者服!?」
時間にして数秒。
タキシードからからどうやって着替えたのか、シャツがくさび帷子に、長ズボンがもんぺに、靴が足袋に、顔には目元だけがわかる頭巾を巻いた姿になっていた。
〔★イリュージョンだ★〕
それだけではなかった。
「あの時の忍者!?」
(忍者カフェで私と涼子ちゃんを襲って、私の右腕を不自由にした奴!!)
「また会ったな、凛道蓮?」
私の言葉に反応し、首だけで振り向く軒猿だった。
そんな忍びに、Jと庄倉がギョッとする。