彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「大丈夫か!?今行くぞ!」
「く、るな・・・!」
「馬鹿!死にたいのか!!」
「お兄ちゃんが・・・・」
「なんだ!?」
「僕が捕まれば・・・・瑞希お兄ちゃんが、危ないから・・・・!」
だったら自力で・・・・!
「自分で、なんとか・・・!」
「馬っ鹿!J様の言葉を真に受けるな!」
「お前に死なれたら、俺達も困るんだ!」
「おい、聞いてるか!?」
「うっ・・・・」
「ヤバいぞ!!頭から血が出てる!意識を失いかけてるんじゃ――――」
その言葉通り、気が遠くなる。
(もうだめ・・・・・・!!)
そう感じた時。
ゴォオオオオオオォォォ!!
「うああああ!?」
「風が!?」
「一番強いぞ!」
「まずい!坊主がっ!」
本日最大の強風。
ガッ!ズルッ!!
「あ・・・・!?」
「凛道蓮が!!」
「金がァァァ!!」
「賞金がっ!!」
そんな声が・・・私を呼ぶ声と、醜い叫びがしたかもしれない。
ビュウゥウウウウウ!!
「う・・・・・・・・・・ああああああああ!!」
(落ちる!!)
風にあおられ、体が浮く。
今度こそ、ダメだと思う。
(―――――――――――――これが私の運命なの?)
自分で決めるとか言いながら、終わりを選んじゃった。
だけど仕方ないじゃない。
片腕で、しかも、100人近い敵と戦った後で。
―凛は頑張り屋さんだな?―
お兄ちゃん、瑞希お兄ちゃん。
凛道蓮が水死体で発見された場合を想像し、絶望する。
こんな私を、嫌いにならないで。
死なないから、嫌わないで。
あなたを苦しめないように頑張ったのに―――――
(私ダメなの――――――――!?)
「わははははははははは!!」
ガシッ!!
浮かんで、そのまま、後ろに飛ばされた体が止まる。
「え・・・・・・?」
背後から受け止められる。
「頑張ったじゃねぇかぁ~!?凛助ぇ~!?」
バカでかい声が響く。
ゆがむ視界で、しゃべった人を見る。
その人影は、とても大きな体で、ごつごつした腕で、私をしっかりと抱きとめていくれていた。
「なんだあいつは!?」
「げ!!?あの男は~」
「知り合いか、審判2!!」
「知ってるのか、審判2!」
「あの人間離れした怪力と凶悪性!口調と推定年齢から予測しますと!」
震える声で、杉田さん・・・・軒猿以外(?)の審判の1人が叫んだ。
「伝説の暴走族、初代龍星軍の特攻隊長で『野獣』の百鬼皇助ですっ!!」
「「「「「ぎゃあああああああ!!?噂の捕縛禁止対象!!!?」」」」」
〔★敵から悲鳴が上がった★〕