彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
ボキボキと拳をならす野獣を見て、審判達は口を割った。
「『ラクシュアラー』から金はもらってないです!給料は手渡しで、もらっててて~」
「名義だけ『ラクシュアラー』の幹部のガキでー!」
「俺達が、格闘技の有段者って知ってスカウトに来て~」
「向こうから声かけてきたんですよ!」
「あと、裏サイトの『キンモクセイ』を取り仕切っているのは、『ラクシュアラー』じゃないです。」
「ただ・・・ヤクザを手足のように使う連中で・・・!」
「暴走族に・・・凛道蓮にこだわってました!」
「お、同じ聞くならJ様に聞いてください!」
「Jに?」
聞き返せば、審判の1人が震えた声で叫ぶ。
「「「「「「「「「あのJが、俺達の雇い主です!!」」」」」」」」」
「ええ!?」
(あのお面をつけた男が黒幕!?)
「凛、『J』ってのは!?」
「ジェイソンのお面をつけた男の人です!」
「どいつだ!?」
「えーと・・・・あれ!?いない!?」
「烈司!!」
私の答えを聞き、瑞希お兄ちゃんが勘の良い人の名を呼ぶ。
「・・・・ダメだ。逃げられたっぽい。」
「わし、船内探してきまっせ!」
「いや、多分・・・もうこの船から逃げちまってる・・・」
「わははははは!ジェットスキーや小型船の音はしなかったけどなぁ~!?」
「スキューバダイビングが趣味なら、その方法で逃げちゃったんじゃないの?あたしならそうするわ。」
「くそっ!ミスった!」
烈司さん達の言葉に、悔しそうにする瑞希お兄ちゃん。
「忍者だけでもムカつくのに、黒幕まで逃がすとは・・・!俺の責任だ!!」
「いいや、情報担当は俺だ。よってそれのセリフは俺が言うべきことだ、瑞希。」
「伊織・・・・!」
「獅子島さん。」
メガネを直しながら言うと、審判達との距離をさらに縮める怖い人。