彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「・・・・少なくとも、しゃべり方や立ち振る舞いからしても、別人と思われます。なによりも、主催者が僕を気に入らなければ、僕を庄倉にくれてやるとまで言ったんです。」
「なっ!?そんなことまで言いやがったのか!?」
「本物なら、そんなこと言いませんよね?」
「・・・・・そうかもしれねぇ・・・・。」
私の言葉で、瑞希お兄ちゃんの視線が動く。
「・・・庄倉、ね。」
全員が、部屋の片隅で縛られた男を見る。
「ひっひひひ!ひひ・・・・!」
「久しぶりに見たと思えば・・・ぶっ壊れちまって・・・・。」
「ああなる前の庄倉は、Jに対して、とても忠実でした。僕が出会った時とは、カンナさん達から聞いた人物像とは、まるで別人のような変わり方でした。下種の極みは変わってませんでしたけど。」
「恩でも受けたのか、あいつ。」
「そういえば・・・・そう言ってましたよ、瑞希お兄ちゃん。Jがやめろといえば、すぐに命令に従っていました。」
「ふむ・・・烈司に最終確認をとらずとも、田渕ではなさそうだな。」
「わははははは!あいつが、拾うのは瑞希みてぇな美人だけだ!!」
「男に美人って言うなボケ!!」
「ねぇ、あいつからすごく臭うけど・・・・また漏らしたの、凛ちゃん?」
「え・・・ええ。」
「やっだぁ~!泌尿器科に行かせた方がよくない!?」
「その前にあれは精神科だろう?」
「モニカも烈司も正解だ。凛、あれをやったのは・・・・」
「その・・・・軒猿ですが・・・・」
「軒猿か・・・」
それで、誰ともなく互いの顔を見合わせる先輩達。
「すごいんですよ!火を使う忍術を使って、庄倉を倒してしまったんです!」
「うはははは!倒すっつーか、ぶっ壊れてるやーん?回復魔法ぐらい、つこうてもええ気がするけどのぉ~」
「相手は魔法使いじゃなくて、忍者だよ、ヤマト。」
「つーか、問題はそこじゃないだろう!?凛、薬は奪えたか?」
「はっ!しまった!!」
(忘れてたぁぁぁ!!)
「その様子じゃ、だめだったみたいだな・・・・」
私の言葉に、誰からともなくため息が漏れる。