彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「今さら戻って縄ほどくのもめんどくせぇ。ここは、伊織の顔の広さに頼ろうぜ。」
「フン!警察庁の試験に落ちたら貴様らのせいだからな?」
「わーってる、責任は俺がとる!俺が頭だ。」
「え?ちゃうやん。」
張り詰めた場面で、のん気な声がそれを否定した。
「この現場の責任者は凛やんけ?」
「ヤマト!?」
「ぼ、僕!?」
驚いて声を上げる瑞希お兄ちゃんと私に、カチューシャとサングラスの似合う関西男子が言う。
「そーやんけ!現役引退した初代龍星軍は、あくまで守護神やで~?ちがいまっか?」
「言われてみれば違わないかも!」
「だぁー!!ばか凛!納得するな!今回は、黒子ファイブ1号が責任持つんだ!?」
「うははは!ホンマ、ブラコンでんなぁ~」
「うるせぇっての!!さっさと、引き上げるぞ!!」
「そうだな、サツが来る前にバックレよーぜ。」
ヤマトの発言をうやむやにするように瑞希お兄ちゃんが言えば、苦笑いしながら烈司さんが合わせてくれた。
「今は逃げるを優先しようぜ?」
「賛成―!とりあえず凛ちゃんは・・・・自力ではしご降りられないわね・・・」
「俺の体にくくりつけて、背負って下ろす!」
「え!?瑞希お兄ちゃんの体に!?」
「我慢しろ!」
思わぬLOVEチャンスを聞き返せば、呆れた顔で返事をしてくれる好きな人。
それは周りも同じだった。
「癪だが、瑞希とセットの方が良いだろう。」
「わはははは!俺様の方が安定感があるが、瑞希が言うなら仕方ねぇ!」
「烈司さんだと、プラス優しさもついてくるが、瑞希に譲るか。」
「そうねぇ・・・・緊急事態だし、今回は許可するわ。本当はあたしがしたいけどォ~今はこれで我慢するわ!」
「きゃー!?」
「コラ、モニカ!!」
「モ、モニカちゃん、恨めしい顔で頬ずりしながら言わないでください・・・!」
「ちょっとだけよぉ~」
「緊急事態なんだぞ!?やめろボケ!」
過剰なスキンシップに、強く拒めず、されるがままになる。
瑞希お兄ちゃんが引きはがしてくれたので、すぐに収まったが・・・・
「では、決まりだ。」
何事もなかったように、私達のやり取りをスルーするよう獅子島さんが指示を出す。