彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)





「今さら戻って縄ほどくのもめんどくせぇ。ここは、伊織の顔の広さに頼ろうぜ。」

「フン!警察庁の試験に落ちたら貴様らのせいだからな?」

「わーってる、責任は俺がとる!俺が頭だ。」

「え?ちゃうやん。」





張り詰めた場面で、のん気な声がそれを否定した。





「この現場の責任者は凛やんけ?」

「ヤマト!?」

「ぼ、僕!?」





驚いて声を上げる瑞希お兄ちゃんと私に、カチューシャとサングラスの似合う関西男子が言う。



「そーやんけ!現役引退した初代龍星軍は、あくまで守護神やで~?ちがいまっか?」

「言われてみれば違わないかも!」

「だぁー!!ばか凛!納得するな!今回は、黒子ファイブ1号が責任持つんだ!?」

「うははは!ホンマ、ブラコンでんなぁ~」

「うるせぇっての!!さっさと、引き上げるぞ!!」

「そうだな、サツが来る前にバックレよーぜ。」



ヤマトの発言をうやむやにするように瑞希お兄ちゃんが言えば、苦笑いしながら烈司さんが合わせてくれた。



「今は逃げるを優先しようぜ?」

「賛成―!とりあえず凛ちゃんは・・・・自力ではしご降りられないわね・・・」

「俺の体にくくりつけて、背負って下ろす!」

「え!?瑞希お兄ちゃんの体に!?」

「我慢しろ!」



思わぬLOVEチャンスを聞き返せば、呆れた顔で返事をしてくれる好きな人。

それは周りも同じだった。



「癪だが、瑞希とセットの方が良いだろう。」

「わはははは!俺様の方が安定感があるが、瑞希が言うなら仕方ねぇ!」

「烈司さんだと、プラス優しさもついてくるが、瑞希に譲るか。」

「そうねぇ・・・・緊急事態だし、今回は許可するわ。本当はあたしがしたいけどォ~今はこれで我慢するわ!」

「きゃー!?」

「コラ、モニカ!!」

「モ、モニカちゃん、恨めしい顔で頬ずりしながら言わないでください・・・!」

「ちょっとだけよぉ~」

「緊急事態なんだぞ!?やめろボケ!」



過剰なスキンシップに、強く拒めず、されるがままになる。

瑞希お兄ちゃんが引きはがしてくれたので、すぐに収まったが・・・・



「では、決まりだ。」



何事もなかったように、私達のやり取りをスルーするよう獅子島さんが指示を出す。



< 244 / 453 >

この作品をシェア

pagetop