彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「こ、これ!?」
「噛め。」
キリッとした顔で言われ、上の歯と下の歯を合わせ合う。
ボリボリ・・・・
「に、にがぁーい!」
「ちょっと、みーちゃん!今のは!?」
「うははは!忍者さんからの解毒剤でっか~」
「瑞希、薬の成分を調べる前に飲ませるんじゃない。」
「うっせー!少量であっても、調査用にとったせいで、凛の腕の麻痺が治らなかったらどうすんだよ!?凛だって・・・・いつまでも、腕が動かないままじゃ困るだろう?」
「瑞希お兄ちゃん・・・」
私のために・・・・
「それもそうね。今は、凛ちゃんの身体を一番にしましょう、イオリン?」
「フン!次会った時は、ジェットスキーの件も含め、100倍返しで薬も奪う・・・!」
「うはははは!怖いのぉ~」
「凛、どうだ?動きそうか?」
「い、いえ・・・」
言われて指先を動かそうとするけど、ピクリともしない。
「動かないです・・・!」
「・・・・効果が出るのが、遅いだけかもな。」
「わからんぞ。ただの苦いだけの薬かもしれん。」
「イオリン、いじわるはやめて!」
「うはははは!そのうち、効果が出るとちゃう?はよう、逃げようや~」
そう言って、いつの間にかヒモはしごに手をかけていたヤマトが、手を振りながら私達を呼ぶ。
「それもそうだ。遅滞性だろう。」
「ここにも素直じゃない子がいるわねぇ~気にしちゃダメよ、凛ちゃん。絶対治るからね?」
「そうだといいんですが・・・」
「心配すんな!そん時は俺が何とかしてやる!」
「お兄ちゃん。」
私を背負って、ヒモばしごへ足をかけながら彼は言った。