彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「俺が憎いなら、俺が代わりに死ぬ!凛は関係ない!」
〈だからこそ、こうしてるのよ!もう遅いわ・・・陽翔が苦しんだように、それ以上にもがいて死になさい、凛道蓮!!苦しめ、真田瑞希!!〉
深い恨みを持ったアキナの声に合わせ、画面がゆがむ。
「凛!!」
〈お、お兄ちゃ・・・・!?〉
〈見せないわよ。〉
凛の姿にノイズが入る。
アキナの勝ち誇った声が響く。
〈あんたは、瑞希お兄ちゃんの姿を見ないで死ぬの。瑞希お兄ちゃんはあんたがもがき苦しむ姿を見ながら絶望するのよ!苦痛に歪む顔を見てるだけなんだから!!あーははははははははは!!〉
「凛っ!!」
「凛たん!強がるな!無理するな!」
「凛ちゃん!返事して!ねぇ、お願いよ!」
「凛道!こっちの声が聞こえていないのか!?」
「しっかりしろ、凛助ぇ!!」
口々に、烈司達が叫ぶが、凛から返事は来ない。
代わりに、皮肉な会話が響く。
〈っ・・・・僕は・・・・・ゆがまない・・・・!!あいにく、あんたのリクエストは受け付けない。〉
〈あはははははは!あと何秒、そう言ってられるかしら!?〉
〈見てる人の気持ちになれば、笑顔しか用意できない・・・・!!〉
「凛・・・・!」
(そのセリフは―――――――――!?)
―俺を見てる奴の気持ちになれば、笑顔しか用意できないっすよ!―
〈陽翔の真似をしないで。〉
〈ゴホゴホ・・・・え?〉
「今のセリフ・・・」
「え、ええ・・・・はるとちゃんが、アキちゃんによく言ってたセリフじゃない・・・」
「喧嘩した後、どんなにボロボロになろうが笑っている陽翔をアキナが責めるたびに言ってたのろけ話じゃないか・・・・」
「瑞希。凛助に教えたんか?」
「・・・・・・・言えるわけないだろう・・・・・・・・・!?」
それなのに、どうして同じセリフを――――――――
(ああ、そうか・・・・・・・・・)
「真似じゃねぇよ・・・・・アキナ・・・・」
誤解している女に向かって、俺は告げる。
「凛も陽翔も、似たもん同士なんだよ・・・・・」
〈な!?僕と伊吹陽翔さんが・・・・!?〉
「ああ・・・それで、同じ言葉が紡げるんだ。」
見た目も性格も違うけど、同じ性質を持ってるからこそ、俺は――――――――
〈やめて!!〉
それを聞いていたアキナが叫ぶ。
俺の言葉を制する。
〈もういい!〉
「アキナ。」
〈もういいから!!〉
やけを起こしたように怒鳴る。