彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
好奇の目にさらされながら、足早にお店から出る。
晴れていた空も、いつの間にか、私達の心のように曇っていた。
「こりゃあ、ひと雨来るかもなー?」
「あの、獅子島さん、ご馳走様でした。僕はもちろん、全員、ご馳走して頂いて・・・」
「なに。株で作ったあぶく銭だ。気にするな。」
「それにしても、ひどいめにあったわねぇ~女からのナンパなんて、ありえなぁーい。」
「俺の方があり得ねぇよ!!くっそ!せっかく遊びに来たのに厄日だぜ!」
「わははははは!凛助は男に見られたのになぁ~!?」
(それもそれで、どうなんだろう・・・・)
〔★男装女子心は複雑だ★〕
「そんで、どーする?けっこー俺ら、周りから、女の子チェック入ってるみたいだぜ?」
「え?」
言われて気づく。
女の子ばかりのグループが、こちらを見ていることに。
同時に納得もできた。
(可愛い系の男の子と、男前と、モデル男子と、美形と、ワイルド系がそろってれば、無理もないか・・・・)
〔★キレイ(?)どころがそろっている★〕
「モニカがアドレスを受け取ったこともあるしな・・・俺のプライベートビーチに行くか?」
「え!?プライベートビーチまであるんですか!?」
(もしかして、もしかしなくても!)
「獅子島さんってお金持ちなんですか!?」
「フン、別に普通だろう。」
「東大生で元・副総長というだけでも普通じゃないです!」
〔★めったにない事例だ★〕
「やっぱ、そうなるよなぁ~伊織のビーチに行くか?」
「あたし反対!」
「俺様もだ!」
「え!?なぜです!?モニカちゃん、百鬼さん!?」
珍しく意見の合う2人に聞けば、声をそろえて言った。
「良い女の鑑賞が堂々と出来ないだろう!?」
「良い男の鑑賞が堂々と出来ないでしょう!?」
「・・・・・・・・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・・・・・・」
「うん、言いたいことはわかる。どうする、凛?」
「え?このタイミングで、僕に決定権を下さるんですか?」
「そりゃあ、凛のための慰安旅行みたいなもんだからな~」
「凛ちゃーん!」
「り~ん~す~け~!」
そう語る瑞希お兄ちゃんの背後で、瞳を潤ませるオネェさんとガンを飛ばしてくるお兄さん。
(天使と悪魔か・・・)
とはいえ、公平に返事した方が良いよね?