彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「致し方ない。」
「伊織。」
これを見ていた眼鏡のツレが言う。
「皇助、ラジオ!今度は2人同時に左右からやれ!」
「伊織!?」
「そんなことしちまったら、凛が危なくないか!?つぶされないか!?」
「落ち着け、瑞希。映像を見る限り、凛道がいたのは地下だ。」
「あ、そうです!開いた床に俺が落ちそうになったので、凛道蓮さんは身替わりにー」
「あんだとテメー!?」
「凛はお前のせいで、こうなったのか!?」
「だ、だから連絡したんじゃないか~」
「俺達は中に入りたいだけだ。将棋倒しの要領で、押せばいい。そのためには、それだけの怪力を持っている皇助とラジオの馬鹿力ならば倒れるだけですむはずだ。」
「おいおい!俺様の方が強いんだぞ!?」
「わし、加減が下手やで!?」
「凛道の命がかかってんだぞ?」
それで2人の顔つきが変わる。
「百鬼はん、500円玉曲げられる?」
「わはははは!歯の詰め物ぐれーに出るぞ!?」
「ほな、わしが4つ折りの力で押すさかい、2つ折りにする気持ちで押して―や!」
「ほぉ~~ん!おもしれーじゃねぇか~!?」
「楽しむな!出来るか、皇助!?」
「あせるな、瑞希~!!」
ボキボキとコブシをならしながら、答える2メートル以上のツレ。
「ワンチャンスだが・・・ラジオ!!いいな・・・!?」
「いつでも、ええで♪百鬼はん?瑞希はーん、号令よろしゅう~」
「よし、1、2の3でいくぞ!!」
それが合図だった。
「いーち!」
「にー♪の~」
「―――さんっ!!」
右手を大きく振る2人に向かって叫んだ。
「やれっ――――――――――――――――――――!!」
「「うおっしゃぁああああああああああああ!!」」
ド――――――――――――――――――――ン
地面を伝う振動と、揺れる5階建てのビル。