彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「火による熱で可燃物が熱分解し、引火性のガスが充満していたのだろう・・・そこへきて、スクリーンを倒すことで、熱を持った一酸化炭素と酸素が一緒になったことで爆発したというところだ。」
「そ、そうか・・・」
(どんな時でも冷静だよな、こいつ・・・)
苦々しく言う伊織に、感心しつつもハッとする。
「凛は!?」
どうなった?
全身の血の気が引く。
「凛っ!!」
「瑞希!!」
焦げ臭い煙が出ている入口まで来た時だった。
「あれは・・・・!?」
なにかが、動いている。
「りんっ!!?」
すすだらけになっているけど、口元だけがきれいな凛が倒れていた。
シルキロールは首元まで下げられていた。
「凛!凛っ!!」
抱き起こし、口に手をあてる。
「ぜーはー・・・・ぜーはー・・・・・」
呼吸はしていた。
ホッとする。
「凛!!よかった・・・生きてる・・・・凛!!」
「凛たん!?」
「どうしてここに・・!?」
「どーでもいいわよ、イオリン!?」
「医者だろう!?」
凛を抱く俺の側に寄ってきたツレ達が、口々に言う。
「救急車呼べ!」
「いや、シゲ先生の診療所へ運ぶぞ。疫病神の足音もすることだしな。」
「疫病神?」
聞き返した時、俺達の耳にサイレンの音が響いた。
ファンファンファン
ウーカンカンカン!!
「やん!誰か通報しちゃったの~!?」
「これだけ騒げば、ご近所さんとか通報するだろう。」
「消防車はともかく、サツはまずいぜ?」
「わはははは!バラさんが来そうだからなー!」
「そんなことより、凛が先だ!早くバックレるぞ!!」
凛を俺の背中にくくりつける。
皇助を先頭に、烈司をしんがりに配置して、ほかは凛を・・・俺達を守る様に囲って走り出す。
四輪が通れない抜け道を、単車で走り抜ける。
凛がケツから落ちないように気をつけながら、俺達は振り返ることなく戦地を後にした。
~4代目は天然たらし!?忍び寄る因縁の対決!!~完~