彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
意識が戻ったのは、意外と早かった。
「凛っ!!!」
「ごめんなさーい!!」
胸に感じる圧迫感。
続いて、肺呼吸が出来なくなる苦しさ。
耐え切れず、むせてしまった。
「ゲホ!ゴホゲホ!・・・・かはっ・・・・!」
「凛っ!!?」
「え・・・・?」
ボーとする意識の中、辺りを見渡す。
私を取り囲むように、沢山の海水浴客が見ていた。
その視界で、時々綺麗な髪の毛が横切った。
「凛ちゃん、無事でよかったぁー!!」
「凛たん、心配したぞ!?」
「凛道、この馬鹿者!おぼれている人を見つけた時、一番してはいかんことをお前はしたわけで―――――――!!」
「この馬鹿助!!結果オーライだったからよかったもんをよぉ~!!!?」
「・・・・モニカちゃん、烈司さん、獅子島さん、百鬼さん・・・・?」
私に抱き付き、背中をなで、首をつまみ、頭を掴んでくる4人のおかげで意識が戻って行く。
「あれ・・・?僕、どうして・・・」
「子供を助けておぼれたんだろうがっ!!!」
「ひゃっ!?」
耳元で大声がする。
ギョッとして声のする方を見れば―――――
「瑞希お兄ちゃん・・・・?」
好きな人がいた。
「ばっか野郎・・・・!」
私をきつく抱きしめていた。
「な、なんで・・・?」
「なんで、いきなり飛び込んだ!!?」
私を、自分の胸に押し付けながら彼が叫ぶ。
「おぼれた人を見かけたら、それが小さい子供でも、飛び込んで助けちゃダメなんだぞ!?知らないのか!?」
「瑞希、それは俺がすでに言ったセリフだ。」
「心配したぞ!?」
「瑞希、それも俺が言った。」
「無事だからよかったようなもんをなぁー!!」
「みーちゃん、それあたしが言った・・・」
「この馬鹿!!結果オーライだったからよかったもんを、最悪、お前は死んでたんだぞ、凛!!?」
「最後のセリフは俺様、言ってねぇなぁ~!?わははははは!」
「笑い事かボケ!!」
「そうですよ!」
瑞希お兄ちゃん達とは違う声が響く。