彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「それから、素人がカンタンに飛び込んじゃいけませんよ?」
「でも、子供でしたし、早く助けないと・・・・」
「と思って助けに行って、死んでしまうケースが一番多いんですよ?いいですか、二度としちゃダメですよ!?」
「う、ご、ごめんなさい・・・」
怖い顔で怒られ、シュンとしぼむしかない私。
落ち込んだんだけど・・・・
「とはいえ、人命救助へのご協力、感謝いたします!」
「え?」
「君達が、女の子が波にさらわれる瞬間を遠くから見てくれていたおかげで、無事に助けることが出来ました。」
「あ、あの子!助かったんですか!?」
「今頃、病院についたころでしょう?君が気道確保の応急処置をしてくれたおかげで、助かりましたよ。」
「よかった・・・・!!」
「本当はしちゃいけないことだけど、1つの命が救われました。本当にありがとうございました!!」
「「「ありがとうございました!!」」」
さわやかマッチョに続き、彼と同じ水着をした人達が敬礼しながらお礼を言ってきた。
「そ、そんな、僕は、二次被害を出しかけてしまったのに・・・・」
「なに言ってんだ、坊主!よくやった!」
「女の子を救って偉いぞ!」
「両手で掲げてたから、守ってたの見てたんだぜ?」
「すごかったねぇ~僕?」
「最近の若い子は、感心だねぇ~」
そんな声と共に、周囲から拍手が上がる。
それで恥ずかしくなってうつむけば、それに気づいたいたお姉さんの1人が指摘する。
「あらあら~みんなで褒めるから、坊や、照れちゃったかなぁ~?」
「みたいだな~あはははは!」
「ははははは!!」
途端に、楽しそうな笑いが起こる。
「良い子だな~」
「謙虚だ。」
「立派だったぞ!」
「あ、ありがとうございます。」
ホッとしながら安堵したのだけど、その安心は長くは続かなかった。