彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「すみません、遅くなりました!シゲ先生。」
「君が蓮君かい?」
「は、はい!はじめまし・・・て・・・」
え?この人が、先生。
浴衣に着替えた4人の先輩といたのは、ラフなスーツを着た男の人。
「はじめまして。山本重治(やまもとしげはる)です。シゲ先生と呼んでくれていいよ。」
「シゲ先生・・・・」
そう言ったのは、メガネをかけたものすごいおじいさんだった。
「凛たん、こちらは業界では有名な山本重治先生だ。」
「あたしたちもお世話になったすっごく良い先生で~あたしへの理解もあるの~」
「くれぐれも粗相をするなよ。無礼は許さん。」
「わはははは!そん時は、俺がブッ飛ばすぜぇ~凛助~!?」
「は・・・・はい・・!」
初代メンバーの言葉と、普段とは違う態度から、どれだけ信用されてるかわかる。
細い身体をしているけど、すごく姿勢がいい。
「凛、シゲ先生は、第二次世界大戦を体験してんだぜ?いろいろ経験豊富で安心だからな?」
「よろしくね。」
「よ、よろしくお願いします・・・!」
こうして旅館の一室で、私と瑞希お兄ちゃん用に用意された部屋での診察が始まった。
何をされるかと思えば・・・・・簡単な問診と、触診・・・・肌に触れられたらバレるんじゃないかと緊張したけど、胸を触られることはなかった。
というよりも、それどころじゃない展開にしてしまった。
「痛いところはあるかね?」
「い、痛いというか~胸は平気です!」
「瑞希は見かけによらず、馬鹿力だぞ?」
「そうよん、凛ちゃん!アバラにひび入ってないかどうかチエックしてもらいなさいよ?」
「俺はそこまでひどく、マッサージしてないぞ馬鹿野郎共!」
「皇助ならありだけどな。肺突き破るぐれーに。」
「わははははは!照れるだろう~!?」
「褒めてないと思いますよ!?いやはや、ホント、助けて頂いたのが瑞希お兄ちゃんですよかっ・・・」
「あら!?あたしじゃいやだった!?」
「俺に不満か?」
「烈司さん傷ついたぞ~?」
「あ、いえ!そういう意味じゃなくて!百鬼さんじゃなくてよかったということで~!肺が破れるとか、怖い思いしなくて~・・・・・・」
そこまで言って思い出す。
(怖い思い・・・・!!)
真っ暗な海の底から伸びてきた手。
海藻やゴミなんかじゃない。
マネキンとか、人形の手でも絶対にない。
「凛?」
(やっぱりあれは・・・・)
「凛、どうした?」
「あ・・・!?」
肩に手を置かれ、ゆさぶられて、我に返る。