彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)



「凛、顔が青いぞ!?気分悪いのか?」

「い、いえ・・・ちょっと・・・怖いこと、思い出しまして・・・・」

「「「「「怖いこと!?」」」」」

「なにかあったみたいだね?」





声をそろえる瑞希お兄ちゃん達の側で、紳士的な先生が静かに問いかけてくる。





「なにがあったのかな?」

「その・・・・実は・・・・・・・」





好きな人に優しく聞かれたこともあって、体験した出来事を話す。

女の子の気道を確保しながら岸に戻ろうとしたら、突然片足を引っ張られたこと。

海藻かゴミかと思えば、反対の足も動かなくなり、海面の下を見てみたら・・・・






「きゃああああああああああああ!!いーやぁー!!凛ちゃん、お化けに会ったの!?」

「うるさいぞ、モニカ。」

「だ、大丈夫だったんか、凛!?」

「はい・・・幸い、瑞希お兄ちゃんが追い払ってくれたので、離れてくれました・・・」


(そう、彼が蹴り飛ばして、酸素まで補給してくれたから私は―――――)



「俺が助ける?」

「はい。お化けに蹴りを入れて、酸素呼吸器をつけてくれたじゃないですか?」


「なんだそれ?」

「えっ!!?」





私の言葉に首をかしげる瑞希お兄ちゃん。

気づけば聞き返していた。



「なんだって・・・助けてくれたじゃないですか?」

「人工呼吸はしたぜ?けど・・・・追い払ったのは俺じゃない・・・・」

「う、海に飛び込んだって、ライフセーバーの人も言ってたじゃないですか?」

「ああ、飛び込むには飛び込んだが・・・・・俺が追い付いた時には、凛はもうボートに乗ってた・・・・。」

「え?」

「そんで、ぐったりしてる凛たんを見た瑞希が、おぼれたってパニくやがって、人工呼吸よ。」

「ええ!?」

「れ、烈司っ!!」

「おほほほ!よく覚えてたわよねぇ~高校時代の体育の授業でした時の蘇生方法~?」

「悪いかよ!?」

「わはははは!俺様もできるぞ!!合法にカワイコちゃんとキスできるからなー!!」

「お前の煩悩と瑞希の生真面目を一緒にするな馬鹿者。」

「つ、つーことで!!・・・・俺が助けたんじゃねぇんだけど・・・・」

「そんな・・・・!?」





嘘でしょう・・・




「僕、てっきり瑞希お兄ちゃんだと思って・・・・」





瑞希お兄ちゃんのように感じたのは気のせいだった??



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