彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「チャンプロードを知ってるってことは・・・ヤンキーに憧れてるのか?」
「いや、これでもツッパリなので。」
「ぎゃはははは!笑わせるなよ!なぁ、坊主~お兄さんを逃がしてくれたら、憧れのヤンキーにしてやってもいいぜ?」
そう言うと、ナイフをお手玉みたいに動かして見せるのぞき。
もはや、怒りを通り越して、呆れる思いで言ってやった。
「結構です。・・・俺には立派な元ヤン様がおそばにいますからね。」
「けっ!寝言は寝て言え!」
馬鹿笑いすると、腰を低くしながら向かってきた。
(まただ!こいつ、のぞきのくせに――――――!)
独特の動きに下手に手が出せない。
出してはいけない気がした。
「死んどけ!」
ヒュン!
「え!?」
至近距離でナイフを投げられる。
「くっ・・・・!?」
とっさに足を上げて、残っていた下駄を投げる。
カッ!!
「チッ!」
(危なかった!)
素足で廊下に立つ。
相手も同じようにこちらに上ってくる。
それで体勢を整えようとした時。
クラ・・・・!
(あ・・・!?めまい!?)
のぼせた体で激しく動いたツケがきた。
それで隙が出来てしまった。
「オラ!頂き!!」
ドン!
「わあああ!?」
タックルされ、腰を固定される形で、あおむけに押し倒された。
その衝撃で、顔からサングラスが離れる。
「は、放せ!」
「はははは!お前、近くで見れば、可愛い顔してるじゃねぇか・・・!?」
「大きなお世話だ!」
「へへ・・・・ついでだ!美少年が裸にされていく姿を、写真に収めてやるよっ!」
「え!?」
ビリビリビリ!!
「きっ・・・・・・・・・・わあああああああああああ!?」
そんな言葉に合わせ、私の浴衣の前を強引に引き裂くのぞき魔。
「おい!き、着てる物を奪うんじゃなかったの!?」
「へっ!あと少し・・・朝方まで隠れてりゃ、朝の海で泳ごうっていう客の振りが出来るだろう~!?」
「な、なんですって!?」
「オラ!体開け!」
「やめ、放せぇぇぇ!!」
抵抗するけど、相手の位置と体格差でうまく動けない。
「ははは!浴衣の下にインナーとレギンスはレアだな!?客も喜ぶ!」
「やめろ!離せ!離・・・誰か―――――――!!」
いやだ、いやだ!
こんな奴に!
よりによって、女の子の体を見られるなんて。
こんなことなら瑞希お兄ちゃんに、バレちゃった方がよかった。
(いや、ダメ!諦めるもんか!)
「このっ!!」
下から蹴りあげてみる。
「きかねぇな。」
「このこの!」
殴ってみる。
のぼせているからか、体勢が悪いからか、どちらもうまく当たらない。