彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「そんな攻撃、きかないってんだよ!」
そう言った男のこぶしがふりかざされる。
「あ――――――――!?」
(殴られるっ!!)
せめてもの意味で、両手を十字に組んで顔へのダメージを防ぐ防御を取ったのだが―――――。
「ぎゃあああああああああ!?」
体に伝わる振動。
「い、いてぇよぉ!!」
「・・・え!?」
慌てて防御をとけば、相手が私に向けていた手を抑えてうずくまっていた。
手のひらを何かが貫通していた。
(な、なんかよくわからないけど――――――――!?)
助かった!?
「えい!!」
「うお!?」
チャンスとばかりに、両手で相手を突き飛ばす。
それであっさりと相手は、廊下にあおむけになる。
形勢逆転。
「覚悟しろ!!」
「ま、待って!今はタイム―――――――――」
「てやぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――!!」
後ずさりする相手に突進しながら体をひねる。
一回転させる。
「くらえっ!!」
「凛っ!!」
(どう廻し蹴り――――――――――!!)
―――――――――――バコ―ン!!
私の名前を呼ぶ声と、渾身の蹴りが相手の脳天へと命中する。
「は・・・が・・・!?」
ドーン!!
それでのぞき犯は、一回転して廊下にうつ伏せに倒れた。
「はぁ・・・はぁ・・・やった・・・!」
「凛!!」
さっき、私を呼んだ声がする。
誰かなんて見なくてもわかる。
愛しい声が庭園に響く。
「よくやった!」
「瑞希お兄ちゃん・・・・」
「完璧などう廻し回転蹴りだったじゃねぇか!?」
〔☆良い子のためのワンポイントアドバイス☆〕
どう廻し回転蹴り:体を斜め下に沈みこませせ、その勢いを利用し、転がるようにして回転して蹴る足技だよん♪
息を切らせて走ってきた瑞希お兄ちゃんは、真っ直ぐ私に駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫か!?浴衣がボロボロじゃねぇか!?」
「はは・・・・すみません、のぞき相手にやられて・・・」
「柔術だろう?」
「柔術?」
「ああ。」
〔☆良い子のためのワンポイントアドバイス☆〕
柔術:武器を使わないで、素手で相手を倒す柔道のベースとなった日本古来からある武道のことだよん♪