赤ずきんの秘密の感情


じゃあと言い放って玄関の扉を開ける。


すると急に開けた扉が閉まり、鼻をぶつけるスレスレの状態に固まるしかできない。


もう一度扉を開けるよりも先に、体がグルンと180度回転する。


そしてドンッと勢いよく扉に背中を押し付けられる。



「誰が帰っていいって言った?」



先ほどとは全く違う低い声。


でも目の前にいるのは弦には変わりはない。


ドンと扉に腕をついてきて、顔と顔の距離が一気に縮まる。


……ん?


なに、どうしたんだろう。


するとクイッと顎を持ち上げられて、見せたくない顔を見せてしまう。



「……」



私は黙って帽子を最大限下げて顔を隠す。


必殺顔隠し。


これ以上私を見ないでください。



「そんなんで俺から逃げられるとでも思ってんのか?」


「……逃げようとはしてない」


「嘘をつけ。動揺を隠すために顔を隠してんだろ。その帽子の下は顔真っ赤にしてるくせによ」



……何を根拠にそれを言っているのか私には理解できない。


動揺って何のこと。


いい加減帰してほしい。


すると急にたくさんの光が私の顔に当たる。


はっとした時にはもう遅い。



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