赤ずきんの秘密の感情
自分の顔が久々に表情を出す。
「……帰っていい?」
表情が薄いと言われる私が、誰が見ても機嫌が悪いという表情になる。
ふんと鼻で笑った弦は、もう一度私に顔を近づけ――
「っっ!!!んーーもう!!収まれこの野郎!」
自分の顔を思いっきりグーパンチして吹き飛ぶように私から離れた。
わけが分からないこの状況に頭がついていかない。
落胆して座り込んでる弦と、扉を開けるかどうかを悩む私。
ため息と共にまた髪が垂れてきた。
面倒なことには首は突っ込みたくないけれど。
とりあえず、恐る恐る弦に手を差しのべる。
「……ちゃんと説明して」
そう呟いて、家の中にいることを決心した。