赤ずきんの秘密の感情
ふと窓の外を見れば少しずつ日が傾き始めている。
この問題は今日中には片付きそうもないな……
「……弦は私にどうしてほしいの」
単刀直入にそう聞くと弦の肩が揺れる。
ゆっくりと帽子で顔を隠した私を見つめる。
「距離を縮めたい。そうしたらもっと紅のこと知れる。そしたら……その、抵抗力着くっていうか、その」
「……わかった」
「え?!」
「……いいよ。同じの抱えてる同士だし」
おばあちゃん……きっと弦のこの問題知っててまた明日なんて言ったんだ。
……久々に何かに興味を示してる気がする。
もしかしたらきっとこの私も……
するとパッと手を取られる。
キラキラした瞳で私を見つめる弦がいた。
「本当にいいの!?ありがとう!!これから紅のこと幸せにするから!!」
「……別に幸せ求めてないから」
「ん?」
「……あなたは私を利用し、私はあなたを利用する。ただそれだけ」
そう言うと、固くなった表情のまま弦が私の手を元に戻した。
「……ただの勘違いとか、俺……乙」
まったくこの人の考えている事は私にはよく理解できない。
まあいい……とりあえず。
「……じゃあ、また明日」
そう言って、おばあちゃんの家を後にした。