赤ずきんの秘密の感情
「ねえ、紅。君も……もしかして」
「……」
全てを言ったわけじゃないけど、何かを分かったような弦。
何となく手を掴まれたままそっぽを向いた。
「どうして顔を背けるの?」
「……だから見る価値ない」
「ったく」
あ、弦の人格変わっ――
そう思った瞬間、スースーする頭。
抑えようものの私の頭にはもう帽子はなくて。
大嫌いな赤毛が顔を出す。
そして――
「や、やめてってば!!」
「やめない」
「帽子返して!!」
「なあ、紅」
「やめて!見ないで!!」
片手が塞がれて隠そうにも隠せない。
一気に近くなる弦との距離にもう……
「紅……顔真っ赤」
「っ……!!」
言われたくないその事実にますます体温が上がっていく。
すぐそこで感じる弦の吐息にもう……
「そうやってお前も自分のこと隠してたってわけね」
口角がくいっと上がり嬉しそうな弦に、思わずきゅっと目をきつく瞑った。
よく何を考えているのかわからないとか、変な子と言われ続けてきたのは――自分のコンプレックスを隠すため。
昔、この赤毛のせいでいじめに合ったのがきっかけで帽子を被るようになった。
その時から私は帽子を被ると感情が消えてしまうという、おかしな性格になってしまった。