赤ずきんの秘密の感情


親にも言えない自分だけの秘密。


感情を表さない方が自由気ままに暮らせるのを知った私は、この状態でずっと生きてきた。


元に戻そうと思った時にはもう遅くて、髪を見られる恐怖と感情を表にうまく出せないようになってしまった。


部屋に戻った時だけが、本当の自分に戻れる唯一の時間。


女になりなさいとお母さんに言われる前からずっと、恋愛ものの小説だって何冊も読んで夢を膨らませていたこともあるし、憧れだってきちんと持ってる。


でも帽子を被れば人がガラリと変わってそんな感情最初から持ち合わせてない状態に早変わりしてしまう。


……そんな、そんなおかしな子。



「そんな女の顔されると、俺もうヤバいんだけど」



一体どんな顔をしてるっていうの?


恥ずかしい。


でも、ちゃんと光を浴びたこの中で……



「げ……弦」



ゆっくりと弦の顔を見て、そっと弦の頬を撫でる。


もう、赤ずきんはやめにしよう。


私だって……変わらなきゃなんだから。






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