赤ずきんの秘密の感情
「そ、そのね?えっと……」
「いつもの俺とお前が入れ替わったみてぇだな」
どこか嬉しそうなそんな声に胸が高鳴る。
知ってたんだよ、この感情があるってことは。
帽子を被ってても記憶は共有してたんだから。
一緒に買い物したり、ただたわいのない会話をしている時でさえ私の心は踊っていたことを。
最初から……私はこの狼に心を食べられていた。
甘い甘い恋の味を二人で味わってた。
「わ、私っ弦のことが――!!」
ぐいっと力強い力で引き寄せられて、唇に広がる甘い味。
とろけてしまうようなそんな味。
離れてく温もりに酔っていると、ぎゅっと抱きしめられる。
「お前は黙って俺に食われてろ。――好きだ、紅」
そう耳元で囁かれて、感情が爆発して弦に抱きついた。
ふわりと舞う帽子にさよならを告げる。
私にはもう怖いものなんて何もないから。
「俺のこの人格直らねえのどうしたらいい?」
「赤ずきんを食べるためには、しばらくはそのままじゃなきゃ食べれないんじゃない?ねえ……弦」
今度は私から頬にキスをする。
おとぎ話のようなそんな恋。
今日もあなたに恋をする。