赤ずきんの秘密の感情
心配そうに私の顔を見つめる男の子がそこにいた。
よく分からないまま男の子を見つめていると、顔に手を伸ばしてくる。
そして帽子の隙間から出た赤毛をそっと耳にかけた。
ばっと勢いよく立ち上がり、深く帽子を被る。
「……すみませんでした」
そう謝りながら地面に落ちた鞄を拾い上げる。
見られたくないもの見られた……
顔を隠してお辞儀をしてその場から立ち去ろうと足を踏み出した。
けどそんな私の手首を男の子が掴んだ。
「ごめん!怪我ない!?」
「……ない……です」
きゅっと掴まれた手首からほんのりとした暖かさが伝わる。
……離してくれないかな。
早くおばあちゃん家に行って帰りたいのに。
ボソッと返事を返すと、ほっと息をつく声。
「良かった……痛い所とかない?」
「……大丈夫です」
大丈夫だから、本当に。
私だって周囲を確認しながら歩いてなかったのも悪いんだから。
気にしなくて大丈夫なのに……な。