赤ずきんの秘密の感情
その場で立ち止まると、男の子の気配もちょっと後ろで止まる。
少し息が上がっているのか、すぐには話出さない。
サァッと吹き抜けていく風に花達が踊るように揺れる。
どこかで聞こえる鳥のさえずりに、私はまた足を動かそうとする。
「また、どこかで会える?」
そう唐突に言われて動かそうとした足をピタリと止めた。
どうしてこんなこと聞くんだろう。
ただ私は、ぶつかった嫌な出来事を作った犯人だっていうのに。
分からない。
この人の考えていることなんて。
小さくため息をついて、帽子のつばをぎゅうっと握る。
「……さようなら」
そう淡々と吐き捨てるように呟いて歩き出す。
今度はもう後ろから追いかけてくることはもうなさそう。
細い細い道を突っ切り、周囲を見渡してなんとなくで歩く。
しばらくしてからそっと後ろを振り返る。
あの男の子は……いない。
肩の力を抜いて、ゆっくりと歩きだす。
すると見覚えのある建物がちらほらと見え始め、大体の場所を掴むとそのままおばあちゃん家へと一直線で向かった。
緑の屋根が目印のおばあちゃんの家。
その屋根が見えると走り出す。