赤ずきんの秘密の感情
キィッ……と柵を開けて家の前の庭へと入る。
石畳の道を歩き、トントントンと小さく扉叩くと中から声が聞こえる。
でもよく声は聞き取れなくて、しかもおばあちゃんは出てこない。
「……おばあちゃん?」
よっぽど具合が悪いのか出てこれないのかな。
ゆっくりとドアノブに手を伸ばし、扉を開ける。
中に入るとしんと静まり返った部屋が私を迎え入れた。
リビングにはおばあちゃんの姿はない。
二階へ上がりおばあちゃんの部屋の扉を叩く。
「……おばあちゃん、入るね」
そう言って中へと入ると、思わず足を止めた。
ズルッと落ちる鞄を止めることはできなくて、ゴトンと鈍い音を立てて床に落ちた。
「いやあ……悪いねぇ何から何まで」
「いいんだよ。ゆっくり休まないとダメなんだし」
なんで、どうして。
呆然と立ち竦む中、おばあちゃんの顔は穏やかな表情でいっぱいだった。
「よいしょっと……おや?赤ずきんじゃないか」
そう私のことを洒落たあだ名で呼ぶおばあちゃん。
17歳にもなったんだからそのあだ名やめてくれないかな……
いやでもそんなことより。
「あ、さっきの!!」
そう顔を輝かせて言ったのは紛れもなく。
……さっき私を花畑まで案内してくれた男の子。