契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
「そういえば、さっき部屋に入ったら鈴音の手帳が置きっぱなしだったな」
「えっ」
鈴音は忍の寝室へ視線を向け、一瞬で午前中のことを思い出す。
USBを見つけて届けることになった際、急いでいたため、確かにそのままサイドテーブルに放置していた。
「待ってろ。今取ってくるから」
「あ、私が行きます」
自分の忘れ物を忍に持ってこさせるわけにはいかない。
忍が寝室に足を向けると同時に、鈴音は慌てて後を追う。
先に忍が寝室に入り、鈴音は距離を取って遠慮がちに足を踏み入れた。
ドアから一、二メートルほどのところで足を止め、忍の姿を目に映す。
「ほら」
「すみません。ありがとうございます」
手帳を手渡され、鈴音はホッとする。
大丈夫とは思っていたが、きちんと手帳が閉じてあったかどうかを心配していた。
「インクの色がめずらしい色に変わっていたな」
鈴音は不意に話しかけられ、手帳から忍へと視線を移す。
「え? ああ、最近変えたんです。琥珀色なんですけれど、落ち着いた色合いがすごくよくて気に入ってます」
再び手元に目を落とし、手帳のペンホルダーに入れてある愛用の万年筆を見て微笑んだ。
ふと、忍の発言からやっぱりメモは見たことがわかり、再び緊張しはじめる。
鈴音はぎこちなく顔を上げていき、忍の高い鼻梁で止まった。
どうしても目を合わせることができないまま、ぎこちなく会釈する。
「じゃ、じゃあ……おやすみなさい」
忍の顔を直視できず、頭を戻すのとほぼ同時に踵を返す。
ドアに向かって一歩踏み出した刹那、左手を掴まれた。
「えっ?」
「えっ」
鈴音は忍の寝室へ視線を向け、一瞬で午前中のことを思い出す。
USBを見つけて届けることになった際、急いでいたため、確かにそのままサイドテーブルに放置していた。
「待ってろ。今取ってくるから」
「あ、私が行きます」
自分の忘れ物を忍に持ってこさせるわけにはいかない。
忍が寝室に足を向けると同時に、鈴音は慌てて後を追う。
先に忍が寝室に入り、鈴音は距離を取って遠慮がちに足を踏み入れた。
ドアから一、二メートルほどのところで足を止め、忍の姿を目に映す。
「ほら」
「すみません。ありがとうございます」
手帳を手渡され、鈴音はホッとする。
大丈夫とは思っていたが、きちんと手帳が閉じてあったかどうかを心配していた。
「インクの色がめずらしい色に変わっていたな」
鈴音は不意に話しかけられ、手帳から忍へと視線を移す。
「え? ああ、最近変えたんです。琥珀色なんですけれど、落ち着いた色合いがすごくよくて気に入ってます」
再び手元に目を落とし、手帳のペンホルダーに入れてある愛用の万年筆を見て微笑んだ。
ふと、忍の発言からやっぱりメモは見たことがわかり、再び緊張しはじめる。
鈴音はぎこちなく顔を上げていき、忍の高い鼻梁で止まった。
どうしても目を合わせることができないまま、ぎこちなく会釈する。
「じゃ、じゃあ……おやすみなさい」
忍の顔を直視できず、頭を戻すのとほぼ同時に踵を返す。
ドアに向かって一歩踏み出した刹那、左手を掴まれた。
「えっ?」