Fragrance


ディナーは銀座の東急プラザの11階にあるギリシャ料理の店だった。


白で統一されたその店は、最近オープンしたばかりなのだそうだ。


「ここのオープンイベントに参加しましたが、チーズが美味しい。ただ少し量が多いからコースではないのにしましょう」


そう言うとジャンはメニューの中からオススメだという料理をピックアップしていく。


届いた料理を食べながら、ジャンは最近あった面白い出来事を萌衣に話していた。


確かに量が多い。


彼の交友関係を聞いていると非常に広く、友人も多いのだろうということがうかがえる。


普段、萌衣は仕事が終わると家に直行し時間の使い方も彼とは全く違うのだということを思い知らされてしまった。


「なんか……すごいですね」


社長ともなると忙しいのに、その隙間の時間で自分のやりたいことを実践している。


自分にはない発想をたくさんジャンは持っていた。


「僕はモエのその素直なところ、とっても好きですよ」


ワイングラスで乾杯をしながら、料理を一緒に共有していく。


「ありがとうございます……」


きっとジャンはモテるのだろうなと心の中で少しだけまだ見ぬ彼の恋人に嫉妬心を抱きながら、萌衣は彼に微笑んだ。


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