通学電車、その後。
「なにそれ、一変してイイ感じじゃん……!」

教室に鞄を置き、予鈴が鳴るまで自動販売機横のベンチで澪と話しこむのは毎朝の日課。

今朝、地下鉄であった出来事を聞いた澪はニヤニヤが止まらないようだ。

「だからね、まだつきあうとかじゃないのっ。あんまり言わないでね、ヘンなこと…」

「何よ、ヘンなことって」

少しでも望みがある以上、外野に壊されたくないの!


二人で隅っこでこそこそしていたら、同じクラスの立花君がやってきた。
織田君の友達だ。

「うわっ、お前らいたのかよ!」

「いて悪かったね」

澪の頬が、ほんわりさくら色。
澪は恋心すら否定するけど、立花君と澪は両思いな気がする。

立花君は、パックのレモンティーを買い、私たちの向かいに座った。

「なんでここに座んの」と澪が言う。

「俺がどこに座ろうと自由だろー。そんなに俺のこと気になるか」

にかっと笑う立花に、澪は軽く唇を噛んだ。

「…立花、自信過剰すぎ」

「何だ。俺の気のせいか」

澪のつれない返事にも、軽く笑いながらぷすりとストローを指す立花君。
そして、澪のちょっとだけ嬉しそうな顔。拗ねたような顔をしてるつもりだろうけれど、私にはわかる。

こ、これは…私がおじゃまなんじゃ?

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