気づいてくれる?
「だーめ、もっと見たい、こっちみて?」

耳元で囁かれ、全身がゾクゾクっとした。

そんな私の慌てように、松浦さんは可笑しそうにクスクスと笑っている。

「あの…からかってますか?」

そんな松浦さんの態度が、悔しいのか不安なのかよくわからなくて、私は彼を見上げた。

「ん?からかってなんかないよ。…ただ、可愛くて、いじめたくなっちゃう気分ではあるかな?」

松浦さんは笑顔のまま、そんな怖いことを言う。
彼を見つめたまま、私は余計どうしてよいのかわからなくなってしまった。

「ごめん、ごめん。困らせたね。」

一歩下がり距離をとってもらい、ようやく息ができるようになった。
それでも、私の両手は松浦さんの両手に包まれたまま。

「君の素顔を見たかったのは本当。また会いたいって思ったんだ。仕事中じゃない君にね。だから今、かなりテンション高くなっちゃって、オレおかしい、自分が」

「松浦さん…」

嬉しそうな顔をみていると、本当にそう思ってくれているんじゃないか、って期待してしまう。

「会えて確信したよ。大橋さん、オレ、君に一目惚れしました。いきなりで信じられないかもしれないけど、本気だから。オレとつきあってもらえないかな?」

うん、信じられない
信じられないよ。
だって、さっきまで私は気づかれないって落ち込んでいて、なのに今手を握られ付き合ってって、
信じられないんだけど、でも…



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