気づいてくれる?
「松浦さん…」

パニックの頭の中で、一つだけ冷静にはっきりしていること。

「ん?」

見上げた松浦さんの瞳がとても優しくて、私は勇気をだした。

「私も、松浦さんにまた会いたいと思ってました。さっき気づかれなくて、本当に悲しかった。そう思ったのは初めてで、…だから、…私も一目惚れしたんだと思います、松浦さんに…」

最後は小さくなってしまった声だけど、最後まで目を見て言うことができた。


「よかった…嬉しい。これからゆっくりとお互いを知っていこう。一緒にいよう」

松浦さんが、優しい笑顔のまま、握られた手のちからを強くした。

「はい、よろしくお願いします」

私も笑顔で彼の手を握り返した。

「…やっば、やっぱり可愛い!想像以上だ!」

また至近距離で覗きこむから、落ち着いていた顔がまた熱くなった。

「もう!やめてください!」

逃げようとする私の頬に、チュッと冷たい唇の感触が落ちた。
驚いて固まった私に、松浦さんはイタズラに笑いながら、

「可愛すぎてがまん出来なかった」

とイタズラに笑った

「…もうっ!松浦さん、どちらかというとSじゃないでか?私からかってばかりで…」

真っ赤になって、恥ずかしくて憎まれ口をきく私に、

「男は好きな女の子はいじめたくなるものでしょ?そのうちわかるよ?オレがどっちか?ってね」

ニヤリと笑うその顔はやはりSでしょう。
私大丈夫かな?
不安が顔にでてしまったのか、松浦さんは私の頭をポンポンとなで、

「大丈夫。大切にするから。…あっ、名前、下の名前まだ知らない、教えて?」

< 13 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop