清廉の聖女と革命の鐘
エルカイダ
日が昇ると同時。
クリスティーナは毎朝その時間に、傍付きの巫女達を従えてこの場に来る。
神殿の裏山にある清山の内奥_山頂にある円上に抉られた開けた東屋のような建物は、この世でもっとも聖なる場所だ。
壮麗優美に鎮座する神殿とは異なり、この場だけは人の手による装飾が一切ない。周りを四つの白く長い柱に囲まれ、床は同色の石が敷き詰められている。
この建物も人が創り出したのではなく、自然が、つまり神が創り出したと言われている。
だからか、周りの草木の中にぽつりとあっても違和感はなく、しかし確かな存在感を放っていた。まるで、外界から隔絶したこの島のようでもあった。
吹き抜けの頭上には天井がなく、清山の上に浮かぶ光の珠を直接目にすることができた。
そう、ここは『フェリテシア神の恩寵』が象った光の真下でもある。むき出しの山肌からは見上げるほど巨大な光晶石がのぞいていた。
あの石こそ、フェリテシアの女神の光と闇の力が秘められた、原石である。太古の時代、我らエルカイダの民がここから無数の光晶石を切り出し、聖女の力をもたらすための媒体として、世界各地に送ったのだ。