清廉の聖女と革命の鐘

クリスティーナはもう一度、ざっと人間を全身を観る。

白のブラウスに濃紺のズボン。所々破れている箇所はあるが、特別珍しい衣服ではない。

ん…?
クリスティーナは彼が握りしめているものに目を留め、好奇心の命じるまま、無理やり彼の手をこじ開けた。

「わぁ」
そこには、エメラルドグリーンの宝石がはめられたペンダントがあった。クリスティーナは不思議な色合いを持つそのペンダントを凝視する。

そして、ふと気がついた。よく見ると、中に何か_紋様?のようなものが刻まれていた。見たことのない二羽の鳥が、互いに交差しているような状態。しばらくそれを見つめていると、「ん…」と人間がかすかにうめいた。

「生きてる!」
本当に、奇跡以外の何物でもない。
驚き半分、死体でなかったことに安堵しながら、クリスティーナは、細い腕で懸命に彼を日影まで引きずっていった。


まだ、聖女になって間もない、クリスティーナが8歳の時の話___
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