結構な腕前で!
「せとみの言うことも、まぁわかるわ。毎回ぶっ倒れられたんじゃ、こっちもおちおち戦ってられないし。回収にも邪魔だしね。何より毎回あの巨体を運ぶのは嫌だわ」

 なかなかはるみも言いたい放題だ。

「慣れるといっても、二回三回程度で何ともなくなるわけでもないですし。戦力になるのはありがたいんですけどねぇ」

「道場解放日だけってのはどう? あれなら数は多いけど、雑魚ばっかだし。茶室に出るのよりは楽でしょう」

 ぽん、と手を叩いて、はるみが提案した。
 二人とも、土門を入れることには抵抗はないらしい。

「掛け持ちだったら、週一でもいいんじゃない?」

「そうですねぇ。ただせとみがどう出るか」

「そうねぇ。ま、土門くんも、今日で懲りたかもしれないし」

「まぁ彼が気付いてからですね」

 しゃくしゃく、とお茶を点てるせとかを見ていた萌実は、あ、と膝を進めた。
 萌実には守りと祓いの力がある、という。
 祓いの力があるなら、土門を回復させることも可能なのではないだろうか。

「先輩。あの土門くんて、魔に引っ付いたからああなったんでしょ? だったら私が何とかすれば、その……土門くんについた魔を祓えるんじゃないですか?」

 小さく手を挙げて言ってみると、せとかの茶筅を持つ手がぴくりと揺れた。
 ん? 何か悪いこと言っただろうか、と萌実は若干身構える。
 せとかはそのまま、しばし茶碗の中に視線を落としていたが、やがてぽつりと呟いた。

「……それは……まぁおいおい」

 おいおいって何だ。
 そんな悠長にしていていいのか。

 いつやるの? 今でしょ!
 納得いかない萌実が古いフレーズで存分に(心の中で)突っ込んでも、せとかはそれ以上何も言わない。
 てことは、萌実の提案は却下、てことか。

 まぁ萌実が人の魔を祓えるのかとか、そういったことに関しては、せとかのほうが詳しいだろう。
 せとかが必要ない、と判断するのであれば、従うほかない。

 何か言いたげなはるみの視線には気付かず、土門の蘇生を待って、その日の部活はお開きとなった。
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