結構な腕前で!
「せとか先輩、土門くんの入部認めたんですか」
袴に着替えながら、萌実は同じく横で着替えているはるみに聞いた。
「うん、まぁ。土門くんがやる気だったしね。でもお陰でせとみが機嫌損ねてね。今日も帰っちゃった」
「まぁ……せとみ先輩からしたら、はるか先輩目当ての人なんて気に食わないでしょうけど」
でも、と萌実は、辺りを窺った。
隣の台所からも、物音は聞こえない。
それでも声を潜めて、はるみに耳打ちする。
「はるか先輩、意外に土門くんに好意的でしたね」
「……やっぱり、そう思う?」
はるみも声を潜める。
「苦手なタイプかと思ってたんだけどな。ああいう武骨者が好みだったのかしらね。確かにせとかともせとみとも違うタイプだわ。小さい頃からずっと一緒だったから、北条家のタイプに飽きるのはわかるんだけど」
「そういうもんですか? 小さい頃からずっと一緒だからこそ、その人がいいって人もいると思いますけど」
「せとみは、そうみたいね。あいつは何だかんだで無難な道を選ぶ人間だってことがよくわかったわ。ずっと一緒のイトコと、一生一緒にいるなんてこの上なく波風のない無難な人生だと思わない?」
「相手のことを知りすぎてるってことですかね」
萌実にはそこまで密な親戚はいないので、よくわからないが。
「相手を知りすぎて、今更新たな発見もないでしょ。つまんないわ」
「そうかもですね」
しかしそれは、あくまで結婚まで行ったときの話だ。
別れたりしたら、それこそ波風どころの騒ぎではないような。
袴に着替えながら、萌実は同じく横で着替えているはるみに聞いた。
「うん、まぁ。土門くんがやる気だったしね。でもお陰でせとみが機嫌損ねてね。今日も帰っちゃった」
「まぁ……せとみ先輩からしたら、はるか先輩目当ての人なんて気に食わないでしょうけど」
でも、と萌実は、辺りを窺った。
隣の台所からも、物音は聞こえない。
それでも声を潜めて、はるみに耳打ちする。
「はるか先輩、意外に土門くんに好意的でしたね」
「……やっぱり、そう思う?」
はるみも声を潜める。
「苦手なタイプかと思ってたんだけどな。ああいう武骨者が好みだったのかしらね。確かにせとかともせとみとも違うタイプだわ。小さい頃からずっと一緒だったから、北条家のタイプに飽きるのはわかるんだけど」
「そういうもんですか? 小さい頃からずっと一緒だからこそ、その人がいいって人もいると思いますけど」
「せとみは、そうみたいね。あいつは何だかんだで無難な道を選ぶ人間だってことがよくわかったわ。ずっと一緒のイトコと、一生一緒にいるなんてこの上なく波風のない無難な人生だと思わない?」
「相手のことを知りすぎてるってことですかね」
萌実にはそこまで密な親戚はいないので、よくわからないが。
「相手を知りすぎて、今更新たな発見もないでしょ。つまんないわ」
「そうかもですね」
しかしそれは、あくまで結婚まで行ったときの話だ。
別れたりしたら、それこそ波風どころの騒ぎではないような。