結構な腕前で!
「いえ。まぁちょっとびっくりはしてましたけど、特に調子が悪かったわけでは。い、いつもよりもせとか先輩が近かったから、緊張しちゃって集中力散漫になってたかも」
ん、とはるかとせとみが萌実を見る。
が、突っ込みが入る前に、土門が納得したように頷いた。
「そうよな。恐ろしい魔に掴まりそうになったら、それどころではなくなりますな。したが南野殿、いついかなるときでも平常心を保たねば、いざというとき動けませぬぞ。力があるからこそ、精神統一も必要なのじゃ。勝負事は、力技だけではありませぬぞ」
何か熱く語られる。
思考のスタート地点はズレているが、内容的には間違っていない。
ぱちぱち、とはるかが手を叩いた。
「さすが土門くん。柔道部のエースだけあるわ。そうね、集中力は大事よね。せとみも見習って欲しいわ」
「何だよ! 俺だって戦うときは集中してるぜ!」
「嘘仰い。集中してたら、変な取りこぼしなんかしないはずよ」
つん、とはるかはせとみをあしらう。
先程はるかが土門を褒めたとき、せとみは明らかに渋面になっていたのに、はるかとせとみが今のように親しげ(?)に話しても、土門は特に反応しない。
これも精神統一のなせる業なのだろうか。
---それとも単に鈍いだけかな? 物事を変な風に考えたりしないっぽいし---
ちょっとしたことで一喜一憂してしまう萌実からすると、羨ましい性格だ。
「部長殿は、いつも冷静沈着だが。やはり茶道も武道に通じるところがありますな」
通じるところがあるどころか、あの茶道部に関しては、がっつり武闘派なのだが。
そこであくまで『茶道』をクローズアップする辺り、やはりちょっとズレている。
「土門くん、今度他校と練習試合があるのでしょう? 見に行っていい?」
不意にはるかが土門に言った。
せとみの顔が、あからさまに強張る。
「お、おお! ぜひぜひ来てくだされ!」
土門も驚いたようだが、すぐに嬉しそうに、こくこくと頷く。
横で萌実ははらはらしていた。
せとみの前で、何ということを言うのだ。
「えええっと。あの、じゃあとりあえず、時間も遅いですしお暇しますね。お邪魔しました」
せとみが爆発する前に、ここから逃げたい。
出されていたお茶を一気に飲むと、萌実は鞄を持って立ち上がった。
「それでは、わしも失礼する」
「うん。わざわざせとかを送り届けてくれてありがとう。土門くんがいてくれて助かったわ」
ね、とはるかが萌実にウインクする。
こ、これ以上せとみ先輩の前で口を開かないでください! と内心叫び、萌実は曖昧に笑いつつ、足早に家に入ったときの縁側に向かった。
ん、とはるかとせとみが萌実を見る。
が、突っ込みが入る前に、土門が納得したように頷いた。
「そうよな。恐ろしい魔に掴まりそうになったら、それどころではなくなりますな。したが南野殿、いついかなるときでも平常心を保たねば、いざというとき動けませぬぞ。力があるからこそ、精神統一も必要なのじゃ。勝負事は、力技だけではありませぬぞ」
何か熱く語られる。
思考のスタート地点はズレているが、内容的には間違っていない。
ぱちぱち、とはるかが手を叩いた。
「さすが土門くん。柔道部のエースだけあるわ。そうね、集中力は大事よね。せとみも見習って欲しいわ」
「何だよ! 俺だって戦うときは集中してるぜ!」
「嘘仰い。集中してたら、変な取りこぼしなんかしないはずよ」
つん、とはるかはせとみをあしらう。
先程はるかが土門を褒めたとき、せとみは明らかに渋面になっていたのに、はるかとせとみが今のように親しげ(?)に話しても、土門は特に反応しない。
これも精神統一のなせる業なのだろうか。
---それとも単に鈍いだけかな? 物事を変な風に考えたりしないっぽいし---
ちょっとしたことで一喜一憂してしまう萌実からすると、羨ましい性格だ。
「部長殿は、いつも冷静沈着だが。やはり茶道も武道に通じるところがありますな」
通じるところがあるどころか、あの茶道部に関しては、がっつり武闘派なのだが。
そこであくまで『茶道』をクローズアップする辺り、やはりちょっとズレている。
「土門くん、今度他校と練習試合があるのでしょう? 見に行っていい?」
不意にはるかが土門に言った。
せとみの顔が、あからさまに強張る。
「お、おお! ぜひぜひ来てくだされ!」
土門も驚いたようだが、すぐに嬉しそうに、こくこくと頷く。
横で萌実ははらはらしていた。
せとみの前で、何ということを言うのだ。
「えええっと。あの、じゃあとりあえず、時間も遅いですしお暇しますね。お邪魔しました」
せとみが爆発する前に、ここから逃げたい。
出されていたお茶を一気に飲むと、萌実は鞄を持って立ち上がった。
「それでは、わしも失礼する」
「うん。わざわざせとかを送り届けてくれてありがとう。土門くんがいてくれて助かったわ」
ね、とはるかが萌実にウインクする。
こ、これ以上せとみ先輩の前で口を開かないでください! と内心叫び、萌実は曖昧に笑いつつ、足早に家に入ったときの縁側に向かった。