結構な腕前で!
第二章
部活というのは授業が全て終わった後の活動だ。
六時限目を終えた萌実は、のろのろと山道を登っていた。
「ていうか、まじか。毎日この登山をしろって?」
今はまだ初夏という季節なのでマシだが、真夏を思うと気が滅入る。
耐寒登山もあり得るわけだ。
目的の場所には憧れの先輩が待っているとはいえ、足取りは重い。
そういえば、と萌実は遥か頭上に見える茶室に目をやった。
中学の頃から憧れていた先輩は、どちらなのだろう。
きちんと茶道をしているのは、せとかに見える。
だが、やたらぼーっとした感じだ。
中学のときは、それこそ遠くから見るだけだったから、ぼーっとしててもわからなかったのか。
対してせとみはフレンドリーだ。
軽い感じは否めないが。
「二年も経てば、髪も伸びるだろうしなぁ」
あんなに憧れていた人がわからないなんて。
「まぁ、選択肢が増えたと思えばいっか。どっちも顔は同じだし」
中学のときは、喋ったこともない。
ということは、外見に惚れたということだ。
外見は同じなのだから、性格を知って好きなほうを選べばいい。
「……て、彼女いない前提で都合よく考えてるけど、そうだ、大事なこと忘れてた」
はた、と我に返る。
いくら『こっち』と決めたところで、彼女がいたら何もならない。
「先輩、彼女いないのかなぁ」
「いませんよ」
いきなり背後から声がした。
うわぁ、と心の中で叫び声を上げて振り向くと、そこには先程から萌実の頭を占めていた先輩の姿。
六時限目を終えた萌実は、のろのろと山道を登っていた。
「ていうか、まじか。毎日この登山をしろって?」
今はまだ初夏という季節なのでマシだが、真夏を思うと気が滅入る。
耐寒登山もあり得るわけだ。
目的の場所には憧れの先輩が待っているとはいえ、足取りは重い。
そういえば、と萌実は遥か頭上に見える茶室に目をやった。
中学の頃から憧れていた先輩は、どちらなのだろう。
きちんと茶道をしているのは、せとかに見える。
だが、やたらぼーっとした感じだ。
中学のときは、それこそ遠くから見るだけだったから、ぼーっとしててもわからなかったのか。
対してせとみはフレンドリーだ。
軽い感じは否めないが。
「二年も経てば、髪も伸びるだろうしなぁ」
あんなに憧れていた人がわからないなんて。
「まぁ、選択肢が増えたと思えばいっか。どっちも顔は同じだし」
中学のときは、喋ったこともない。
ということは、外見に惚れたということだ。
外見は同じなのだから、性格を知って好きなほうを選べばいい。
「……て、彼女いない前提で都合よく考えてるけど、そうだ、大事なこと忘れてた」
はた、と我に返る。
いくら『こっち』と決めたところで、彼女がいたら何もならない。
「先輩、彼女いないのかなぁ」
「いませんよ」
いきなり背後から声がした。
うわぁ、と心の中で叫び声を上げて振り向くと、そこには先程から萌実の頭を占めていた先輩の姿。