結構な腕前で!
「せとか、ちょっと本気になったの?」
すっかり日が沈んだ夜道を歩きながら、はるみが横を歩くせとかに言った。
「そう見えましたか?」
「何気にデートの約束を取り付けてたじゃない」
「そう解釈して貰えましたかねぇ」
ふふふ、とせとかが笑う。
「せとかもさぁ、ちょっとは素直になれば? せとみに萌実さんを取られそうで焦ったんじゃないの?」
「……どうでしょう」
「のんびり構えてると、ほんとに取られるわよ」
「いや、こればっかりは南野さんの気持ちもありますし」
ふぅん? とはるみはせとかを見上げた。
てっきり萌実の気持ちには気付いていると思っていた。
気付いていなくても、部室を出る前の会話を聞いていれば、ある程度は勘付くと思うのだが。
そんなに前から聞いていたわけではなかったのだろうか。
「ま、私はせとみが他に目を向けてくれれば、それでいいのよ」
「その考えには賛成なんですがね」
「その相手が萌実さんっていうのが気に食わない?」
「う~ん、そうですねぇ……。安易に思えるんですよ」
「ああ……そっち」
せとかの言葉に、はるみも頷いた。
ちょっと前まではるかを追いかけていたせとみが、はるかが他の男に掻っ攫われた途端、同じ部活の後輩にちょっかいをかけ始めた。
丁度そこにいたお手軽な対象に切り替えたようにも見える。
「まぁ、はるみに乗り換えるよりはマシですが」
「それこそ代わりじゃない。あからさますぎる」
「もっともそうなると、単にはるかの外見が好きだった、ということになりますね」
「そうね。中身は全く違うもの」
「どっちにしろ、はるかのことも含めて様子見ですね」
---せとかと萌実さんのこともね---
ふぅ、と息をつくせとかを見上げながら、はるみはこそりと心の中で付け足した。
すっかり日が沈んだ夜道を歩きながら、はるみが横を歩くせとかに言った。
「そう見えましたか?」
「何気にデートの約束を取り付けてたじゃない」
「そう解釈して貰えましたかねぇ」
ふふふ、とせとかが笑う。
「せとかもさぁ、ちょっとは素直になれば? せとみに萌実さんを取られそうで焦ったんじゃないの?」
「……どうでしょう」
「のんびり構えてると、ほんとに取られるわよ」
「いや、こればっかりは南野さんの気持ちもありますし」
ふぅん? とはるみはせとかを見上げた。
てっきり萌実の気持ちには気付いていると思っていた。
気付いていなくても、部室を出る前の会話を聞いていれば、ある程度は勘付くと思うのだが。
そんなに前から聞いていたわけではなかったのだろうか。
「ま、私はせとみが他に目を向けてくれれば、それでいいのよ」
「その考えには賛成なんですがね」
「その相手が萌実さんっていうのが気に食わない?」
「う~ん、そうですねぇ……。安易に思えるんですよ」
「ああ……そっち」
せとかの言葉に、はるみも頷いた。
ちょっと前まではるかを追いかけていたせとみが、はるかが他の男に掻っ攫われた途端、同じ部活の後輩にちょっかいをかけ始めた。
丁度そこにいたお手軽な対象に切り替えたようにも見える。
「まぁ、はるみに乗り換えるよりはマシですが」
「それこそ代わりじゃない。あからさますぎる」
「もっともそうなると、単にはるかの外見が好きだった、ということになりますね」
「そうね。中身は全く違うもの」
「どっちにしろ、はるかのことも含めて様子見ですね」
---せとかと萌実さんのこともね---
ふぅ、と息をつくせとかを見上げながら、はるみはこそりと心の中で付け足した。