結構な腕前で!
第十七章
萌実が茶道部の部室への山道を登っていると、先のほうに見える部室から、せとかが何か長いものを抱えて出てきた。
「あれせとか先輩。どこか行くんですか?」
残りの坂を駆け上がり、着物姿のせとかに言う。
せとかは、ちょいと向こうの展望台的に拓けた広場を指差した。
「天気がいいから、たまには野点でもしようかと」
せとかが抱えているのは傘のようだ。
すでに先の広場には赤い繊毛が敷いてある。
「いいですね。手伝いますよ」
「とりあえず、着替えてらっしゃい。制服だと雰囲気も出ないですから」
せとかに言われ、萌実は急いで部室に入った。
更衣室で袴に着替える。
慣れたもので、もうわたわたすることなく着替えられるようになった。
着替えて茶室を覗くと、せとかがカセットコンロを引っ張り出している。
「ポットで済ます手もあるんですがね。折角ですし、本格的にやりましょう。ポットだと作法もおかしくなりますし」
せとかがカセットコンロと釜を運び、萌実はその他の茶碗など細々した小物を運ぶ。
二人で運んだので、すぐに野点の準備ができた。
「凄いですねぇ。何か折角ちゃんとしたセットなのに、部員だけって勿体ない」
「こういう景色を独り占めできるのも、茶道部の特権です」
カセットコンロにセットした釜に湯を沸かし、せとかが優雅にお茶を点てる。
あれれ、と萌実は部室のほうを見た。
「せとか先輩、他の人は?」
野点の席にはせとかと萌実の二人だけだ。
「せとみは土門と道場で特訓ですよ」
「え、二人で?」
「ええ。道場に関しては、せとみのほうが部長ですから」
今はテスト前なので、通常の部活はお休みなのだ。
なので土門も柔道部はお休みで、こちらに来ているのだろうが。
「あれせとか先輩。どこか行くんですか?」
残りの坂を駆け上がり、着物姿のせとかに言う。
せとかは、ちょいと向こうの展望台的に拓けた広場を指差した。
「天気がいいから、たまには野点でもしようかと」
せとかが抱えているのは傘のようだ。
すでに先の広場には赤い繊毛が敷いてある。
「いいですね。手伝いますよ」
「とりあえず、着替えてらっしゃい。制服だと雰囲気も出ないですから」
せとかに言われ、萌実は急いで部室に入った。
更衣室で袴に着替える。
慣れたもので、もうわたわたすることなく着替えられるようになった。
着替えて茶室を覗くと、せとかがカセットコンロを引っ張り出している。
「ポットで済ます手もあるんですがね。折角ですし、本格的にやりましょう。ポットだと作法もおかしくなりますし」
せとかがカセットコンロと釜を運び、萌実はその他の茶碗など細々した小物を運ぶ。
二人で運んだので、すぐに野点の準備ができた。
「凄いですねぇ。何か折角ちゃんとしたセットなのに、部員だけって勿体ない」
「こういう景色を独り占めできるのも、茶道部の特権です」
カセットコンロにセットした釜に湯を沸かし、せとかが優雅にお茶を点てる。
あれれ、と萌実は部室のほうを見た。
「せとか先輩、他の人は?」
野点の席にはせとかと萌実の二人だけだ。
「せとみは土門と道場で特訓ですよ」
「え、二人で?」
「ええ。道場に関しては、せとみのほうが部長ですから」
今はテスト前なので、通常の部活はお休みなのだ。
なので土門も柔道部はお休みで、こちらに来ているのだろうが。