結構な腕前で!
「彼女は強いですが、如何せん一人なのでね。一応女性ですし、何かあったら危ないですし、魔の本拠地は我々茶道部が管理することになったのです」
「ふーん……。て、一人?」
「ええ。華道部って、やっぱり女性ばっかりになりがちで、そうすると魔を怖がるんですよ。華道部の裏の活動を知ると、皆辞めてしまうようで」
「よく部活として成り立ってますね」
「校舎側を守る部は必要ですし、守れるだけの力の持ち主も、そういないですからね。学校側からの要請もあって、一人でも部活として存続しているわけです」
なるほど、と萌実は由梨花の去った戸を眺めた。
あの戸と廊下を挟んで、由梨花は一人花を活けているわけか。
時折現れる魔と戦いながら。
「寂しいですね……」
しんみり言うと、せとかはひらひらと手を振った。
「そうでもないようですよ。部員が続かないのは、彼女の性格のせいも大いにあるんですから。根っからのセレブお嬢様についていける人も、そういないでしょう? 本人も自分の好きにやれるので、別段不満はないようですよ」
「あ、そうなんですか。ていうか、本物のお嬢様は、やっぱりお花とか習ってるもんなんですねぇ」
お茶やお花を嗜み、琴を弾く。
本物のお嬢様のイメージそのままの人、ということか。
「そんなしとやかさがあるかどうかも疑問ですが。華道部のユニフォームのあの振袖は京友禅(自前)ですし、毎回の花も一流生花店からの配達ですし(自前)、花器も鑑定したら相当な高額のつくであろう逸品です。もちろんこれも自前ですよ」
「しええぇぇっ! 確かにそんな部、緊張して疲れそう」
「そういうことです。所詮庶民は付き合いきれない女性ですよ。彼女の力は魅力がありますが、残念ながら僕は近付けません。昔から花に囲まれて育ったせいか、彼女自身に反応してしまうので」
若干引っ掛かりを感じながらも、それは良かった、と萌実は胸を撫で下ろした。
あんな超絶美人なセレブお嬢様がライバルだったら、万に一つも勝ち目はない。
「でもやっぱり、そんな凄い人に好かれてるって、凄いことじゃないですか」
わからないのはせとみだ。
上手くいけば逆玉のチャンスなのに、何故嫌がるのか。
魔に対する力がある点もお似合いなのに。
「せとかも言っただろ? 庶民の俺らにゃ、手に負えないよ」
「そういうもんですかね」
こっちが一方的に好いている片思い状態であれば高嶺の花だが、向こうから好いてくれているのだ。
納得できないが、もしかしたら女性のほうが地位が上というのは、男性からすると屈辱なのかもしれない、と思い、萌実はそれ以上突っ込まなかった。
「ふーん……。て、一人?」
「ええ。華道部って、やっぱり女性ばっかりになりがちで、そうすると魔を怖がるんですよ。華道部の裏の活動を知ると、皆辞めてしまうようで」
「よく部活として成り立ってますね」
「校舎側を守る部は必要ですし、守れるだけの力の持ち主も、そういないですからね。学校側からの要請もあって、一人でも部活として存続しているわけです」
なるほど、と萌実は由梨花の去った戸を眺めた。
あの戸と廊下を挟んで、由梨花は一人花を活けているわけか。
時折現れる魔と戦いながら。
「寂しいですね……」
しんみり言うと、せとかはひらひらと手を振った。
「そうでもないようですよ。部員が続かないのは、彼女の性格のせいも大いにあるんですから。根っからのセレブお嬢様についていける人も、そういないでしょう? 本人も自分の好きにやれるので、別段不満はないようですよ」
「あ、そうなんですか。ていうか、本物のお嬢様は、やっぱりお花とか習ってるもんなんですねぇ」
お茶やお花を嗜み、琴を弾く。
本物のお嬢様のイメージそのままの人、ということか。
「そんなしとやかさがあるかどうかも疑問ですが。華道部のユニフォームのあの振袖は京友禅(自前)ですし、毎回の花も一流生花店からの配達ですし(自前)、花器も鑑定したら相当な高額のつくであろう逸品です。もちろんこれも自前ですよ」
「しええぇぇっ! 確かにそんな部、緊張して疲れそう」
「そういうことです。所詮庶民は付き合いきれない女性ですよ。彼女の力は魅力がありますが、残念ながら僕は近付けません。昔から花に囲まれて育ったせいか、彼女自身に反応してしまうので」
若干引っ掛かりを感じながらも、それは良かった、と萌実は胸を撫で下ろした。
あんな超絶美人なセレブお嬢様がライバルだったら、万に一つも勝ち目はない。
「でもやっぱり、そんな凄い人に好かれてるって、凄いことじゃないですか」
わからないのはせとみだ。
上手くいけば逆玉のチャンスなのに、何故嫌がるのか。
魔に対する力がある点もお似合いなのに。
「せとかも言っただろ? 庶民の俺らにゃ、手に負えないよ」
「そういうもんですかね」
こっちが一方的に好いている片思い状態であれば高嶺の花だが、向こうから好いてくれているのだ。
納得できないが、もしかしたら女性のほうが地位が上というのは、男性からすると屈辱なのかもしれない、と思い、萌実はそれ以上突っ込まなかった。