結構な腕前で!
第十九章
「南野 萌実さん?」
次の日の昼休み。
教室中に響く凛とした声に、皆の視線が教室の戸に集中する。
その視線を平然と受け止めているのは、背後にユリを背負っていそうな真行寺 由梨花だ。
「ちょっとよろしくて?」
お昼ご飯を食べていた萌実は、ぐ、と喉を詰まらせながら戸を見つめた。
目がばっちり合っているので、聞こえないふりもできない。
「あれ、二年の真行寺さんよね。え、ちょっと萌実、知り合いなの?」
佐弥子が驚いたように言う。
つくづくこんな目立つ人を今まで知らなかったのが不思議でしょうがないほど、由梨花は常人にはあり得ないオーラを放っている。
彼女が廊下を歩けば、モーゼのようにさぁっと人が左右に引くし、何なら彼女がいるところだけ光り輝いているようだ。
それでいて近付き難い雰囲気なのだが。
「知り合いじゃない……はず」
お箸を咥えたままぼそぼそ言っていると、由梨花の視線が鋭くなった。
目からビームが飛び出しそうだ。
「呼ばれたら、さっさといらっしゃい!」
ビームの代わりに怒号が飛び、萌実は慌てて由梨花の元にすっ飛んで行った。
萌実が傍に来ると、由梨花はくるりと踵を返し、すたすたと廊下を歩いていく。
ついてこいと背中が言っている。
これがせとか先輩だったら、どこまでもついていくのに! と思いつつ、萌実は少々躊躇った後、のそのそと由梨花の後をついていった。
会談の踊り場で、くるりと由梨花が振り向いた。
上っていたので、階段途中の萌実は位置的に下になる。
当たり前のことなのに、大きなステンドグラスを背にした由梨花に見下ろされると、何だか自分がやたら小さな人間に思えてしまう。
その立ち位置が見事に嵌る人物だ。
次の日の昼休み。
教室中に響く凛とした声に、皆の視線が教室の戸に集中する。
その視線を平然と受け止めているのは、背後にユリを背負っていそうな真行寺 由梨花だ。
「ちょっとよろしくて?」
お昼ご飯を食べていた萌実は、ぐ、と喉を詰まらせながら戸を見つめた。
目がばっちり合っているので、聞こえないふりもできない。
「あれ、二年の真行寺さんよね。え、ちょっと萌実、知り合いなの?」
佐弥子が驚いたように言う。
つくづくこんな目立つ人を今まで知らなかったのが不思議でしょうがないほど、由梨花は常人にはあり得ないオーラを放っている。
彼女が廊下を歩けば、モーゼのようにさぁっと人が左右に引くし、何なら彼女がいるところだけ光り輝いているようだ。
それでいて近付き難い雰囲気なのだが。
「知り合いじゃない……はず」
お箸を咥えたままぼそぼそ言っていると、由梨花の視線が鋭くなった。
目からビームが飛び出しそうだ。
「呼ばれたら、さっさといらっしゃい!」
ビームの代わりに怒号が飛び、萌実は慌てて由梨花の元にすっ飛んで行った。
萌実が傍に来ると、由梨花はくるりと踵を返し、すたすたと廊下を歩いていく。
ついてこいと背中が言っている。
これがせとか先輩だったら、どこまでもついていくのに! と思いつつ、萌実は少々躊躇った後、のそのそと由梨花の後をついていった。
会談の踊り場で、くるりと由梨花が振り向いた。
上っていたので、階段途中の萌実は位置的に下になる。
当たり前のことなのに、大きなステンドグラスを背にした由梨花に見下ろされると、何だか自分がやたら小さな人間に思えてしまう。
その立ち位置が見事に嵌る人物だ。